第106回全国高校野球選手権島根大会(県高野連、県教育委員会、朝日新聞社主催)が12日、松江市営野球場で開幕した。開会式では、39校38チームの選手が胸を張ってグラウンドを行進。開幕試合では島根中央が、隠岐を七回コールドで下し、2回戦進出…

 第106回全国高校野球選手権島根大会(県高野連、県教育委員会、朝日新聞社主催)が12日、松江市営野球場で開幕した。開会式では、39校38チームの選手が胸を張ってグラウンドを行進。開幕試合では島根中央が、隠岐を七回コールドで下し、2回戦進出を決めた。

 ユニホームがしっとりぬれる小雨のグラウンドで、正午に始まった開会式。「いちにっ、いちにっ」。選手たちは、足の運びや腕の振りを掛け声で合わせながら、胸を張って入場行進した。スタンドでは、チームの仲間や保護者らが拍手で迎えた。

 島根県高校野球連盟の水津則義会長は開会のあいさつを「ここにかける、ここから始まる」との大会キャッチフレーズから始めた。「勝つこと以上に大事なのは、自分の力を出し切り、支えてくれた誰かのために頑張ること」と述べた上で、「島根の高校野球で育ったみなさんに5年後、10年後、子どもたちの指導者として帰ってきてほしい」と呼びかけた。

 朝日新聞松江総局の石川和彦総局長は野球と個人競技の違いに触れ、「ミスが出ても、みんなで取り返そうと頑張る。ベンチにも仲間がいて心強い。仲間を信じて、思いっきり打って走って投げて下さい」とあいさつした。

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 「野球は一人ではできません。大好きな野球が嫌いになりそうになった時も、ぼくの周りには支えてくれる仲間がいました」

 松江南の山本柊人主将(3年)は選手宣誓に、仲間への感謝の言葉を盛り込んだ。

 1年生の時、秋の大会で三塁手としてレギュラー入り。しかし、試合で結果を出せず、勉強にも身が入らなかった。その冬、しんどい気持ちを同級生の部員に伝えると、「お前がいないとチームが成り立たない」と鼓舞してくれた。「その言葉で目が覚めました」

 そして、仲間はチームメートだけでなく、野球に励む高校生たちに広がった。「島根県の高校球児全員が仲間です。そんな仲間と挑む最後の夏。最高の笑顔を届け、野球を楽しむことを誓います」

 同じグランウンドに立つ39校の仲間を代表して、声高らかに宣誓を終えた。(堀田浩一)

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 開幕試合の始球式には、旧八雲中学校(現出雲市立斐川東中)で野球部のチームメートだった西治さん(76)と錦織正実さん(76)が登場。61年ぶりにバッテリーを組んだ。

 6月下旬から練習を開始。「当初は半分までしかボールが届かなかった」という投手の西さん。開幕前日には、錦織さんが構えるミットまで届くように。

 この日は、惜しくもワンバウンド投球だったが、グラブさばきが良い錦織さんが見事キャッチ。西さんは「ちょっと力んだ」と悔やんだが、「気持ちよく投げることができました」。錦織さんは「なんとか捕れました」。お互いほっとした表情を見せた。(堀田浩一)