<巨人3-2DeNA>◇12日◇東京ドーム巨人が若林楽人外野手(26)の劇的サヨナラ打でDeNAとの首位攻防初戦を制した。ファーム再調整を経て、16日ぶりに1軍復帰した坂本勇人内野手(35)は「6番三塁」でスタメン出場。4打数無安打も、阿部…

<巨人3-2DeNA>◇12日◇東京ドーム

巨人が若林楽人外野手(26)の劇的サヨナラ打でDeNAとの首位攻防初戦を制した。ファーム再調整を経て、16日ぶりに1軍復帰した坂本勇人内野手(35)は「6番三塁」でスタメン出場。4打数無安打も、阿部慎之助監督(45)は「心配はしていない」とベテランへの信頼を寄せた。DeNAに競り勝ち、今季2度目の6連勝。2位広島にも1ゲーム差をつけて首位をキープした。

   ◇   ◇   ◇

新天地のお立ち台からの景色を見渡しながら言った。若林は喜びと感謝の思いがあふれた。

「坂本さんの進塁打がすごいなと思って。その中で強気でいきました」

次打者席から目に焼き付けていた。DeNA京山にタイミングを合わせながら、込み上げるものがあった。「あの場面で自分にできるかな」。9回無死二塁、坂本が2ストライクと追い込まれた後、二ゴロの進塁打でつないだ。現役最多の2375安打の大打者にとっては最低限かもしれない。でも、若林はチームが掲げる自己犠牲の精神を体現し、勝利至上主義を貫く姿勢に胸が熱くなった。

1死三塁。最高のお膳立てだったから初球で決められた。141キロスプリットを振り抜き、前進守備を敷く内野陣の網を抜け、左前にはじき返した。新チームメートから歓喜のウオーターシャワーの手荒い祝福を浴びた。坂本からもハグされ「冷静に自分のやるべきことをやれた」と誇らしげに言った。

トレード移籍前となる西武時代の5月1日、日本ハム戦でもサヨナラ2ランをマーク。同一シーズンの両リーグでのサヨナラ打はプロ野球史上初の快挙。移籍後は汚れたスニーカーを処分したサヨナラ男。長野とはロッカーが隣で野球談議をしながら、打撃の引き出しを増やす。地に足がついていないと感じる時こそトレーニングで気を落ち着けるのが習慣。この日も試合前に体を鍛えてフワフワした気持ちを整え、殊勲の一打につなげた。

歴史的混戦の中、DeNAとの首位攻防戦第1ラウンドを制した。今季2度目の6連勝で首位をキープした。実家は北海道白老町の眞證寺。名前の「楽人(がくと)」は「楽人(がくにん)」との雅楽を演奏する者を指す言葉が由来のイケメンがヒーローになった。【上田悠太】

▼西武からシーズン途中に移籍してきた若林がサヨナラ安打を放って巨人が今季5度目のサヨナラ勝ち。若林のサヨナラ安打は西武時代の今年の5月1日日本ハム戦(サヨナラ2ラン)に次いで自身2本目。これまで同一シーズンに2球団で本塁打を打った選手は9人いたが、同一シーズンに2球団でサヨナラ安打はプロ野球史上初めてだ。

▽巨人阿部監督(サヨナラ打の若林に)「ポテンシャルも素晴らしいし、独特な世界を持っている。何かやってくれるんじゃないかと期待感を持たせてくれる選手。こうやって活躍できて本人が一番、ほっとしていると思います」

▽巨人戸郷(6回7安打2失点)「カウント球の変化球が思ったように入らなかった。いいものは出せなかった」