「ボクシング・10回戦」(6日、後楽園ホール) WBC・WBO世界ライトフライ級1位の岩田翔吉(28)=帝拳=が世界前哨戦として、WBPアジアパシフィック(AP)11位、フィリピン1位のジャージール・トリニダード(27)=フィリピン=とメ…

 「ボクシング・10回戦」(6日、後楽園ホール)

 WBC・WBO世界ライトフライ級1位の岩田翔吉(28)=帝拳=が世界前哨戦として、WBPアジアパシフィック(AP)11位、フィリピン1位のジャージール・トリニダード(27)=フィリピン=とメインイベントのライトフライ級10回戦で対戦した。

 2ラウンド、独特のパンチの軌道を持つトリニダードの左フックを浴びて「全然効いてなかったけど体を預けてくる感じだったので」大きくよろめいたが、笑顔で「来い来い」とアピールする。

 岩田は相手のパンチの軌道に慣れつつ、空振りさせながら組み立てるという戦略で主導権を握り、3回に左アッパーを効かせると、さらに左アッパーを直撃させて、これまでダウンがないというトリニダードから最初のダウンを奪取した。

 その後も左右のボディーで消耗させ、6回に「効いた感触があったので自信になった」という右ボディーでダメージを与えると、左フックでダウンを追加。猛攻を加えると1分10秒、レフェリーが試合を止めた。

 岩田は2022年11月、WBO王者ジョナサン・ゴンサレス(プエルトリコ)に判定負けしてからの期間を「人間としてすごく重要な時間、考える時間になった。ボクシングをやっている理由は世界チャンピオンになりたいから」と振り返った。この間、4戦4KO勝ちで「自分で言うのもアレだけど、精神的にすごく成長できたというか、精神的に強くなったと思います。試合前の緊張だったり気持ちの持っていき方も、比べものにならないくらい冷静になった」と実感している。

 世界前哨戦をクリアした岩田は「ジムで課題を含めてしっかりやりつつストロングポイントを伸ばせていければ、世界を取る自信はあります」と、静かに言い切った。

 セミファイナルのフェザー級8回戦では日本フェザー級13位、WBO-AP8位の金子虎旦(26)=帝拳=がフィリピン8位のマイケル・カサマ(23)=フィリピン=を迎撃したが、9勝全てがKO勝ちで序盤から倒しに来るカサマの左フックを効かされ、めった打ちにされて1回2分5秒、TKO負け。プロ初黒星を喫した。

 WBO-AP・東洋太平洋スーパーバンタム級4位の村田昴(27)=帝拳=はスーパーバンタム級10回戦でWBO-AP15位のブライアン・ジェームス・ワイルド(23)=フィリピン=と対戦。ワイルドの変則的なスタイルに慣れてくると4回に左アッパーを効かせてからの右でダウンを奪い、6ラウンドにメッタ打ちして1分49秒、TKO勝ちした。

 村田は「(ワイルドは)気持ちが強くて打っても打っても倒れなくて、心が折れそうになったけど、声援が力になりました」と振り返り、「(タイトル戦の)テストマッチとして組んでいただけたと思う。次にタイトルマッチができることになったら応援が力になると思う」とアピールした。

 IBF、WBO、WBCの世界10位台に入っている高見亨介(22)=帝拳=は、2019年に田中恒成の世界王座に挑戦したウラン・トロハツ(31)=中国=と110ポンド契約8回戦で対戦。3月に20歳で急逝した弟分のボクサー、坂間叶夢さんの名前「叶夢」をトランクスに入れて臨んだ高見は手数で圧倒し、3-0の判定勝ちを収めた。

 高見は「今日はふがいない試合をしちゃった。相手は気持ちが強くてベテランで、少しそれにのまれてしまった」と反省しつつ、「8回フルラウンドを世界挑戦している選手と戦えたことをプラスに考えたい。次回は強くなった姿を見せたい」とポジティブに話した。

 東日本新人王戦は、フライ級4回戦で佐野篤希(20)=伴流=が鈴木丈太朗(22)=帝拳=と対戦。2ラウンド以降は鈴木が優勢に試合を進めたが最終4ラウンド1分25秒、佐野が右フックで劇的なKO勝ちを収めた。スーパーフライ級4回戦は大橋昌彦(21)=角海老宝石=が江崎由(22)=横浜光=に2-0で判定勝ちした。