カナダ代表としてパリ五輪出場を決めた柔道女子57キロ級の出口クリスタ(28)と、妹で52キロ級の出口ケリー(25)が6日、出身地である長野県塩尻市で行われた壮行会に出席した。19年に世界女王に輝きながら、東京五輪落選の失意を乗り越えて初の…

 カナダ代表としてパリ五輪出場を決めた柔道女子57キロ級の出口クリスタ(28)と、妹で52キロ級の出口ケリー(25)が6日、出身地である長野県塩尻市で行われた壮行会に出席した。19年に世界女王に輝きながら、東京五輪落選の失意を乗り越えて初の大舞台に臨むクリスタは「楽しんで自分らしい柔道をすることを胸に頑張ってきたい。カナダ代表といえど、ここ(塩尻市)が私の生まれた場所なので、ぜひメダルを持って帰りたい」と決意を込めた。

 出口姉妹は塩尻市で生まれ育ち、長野・松商学園高から山梨学院大に進み、父の母国であるカナダ代表として活動することを選択して五輪を目指してきた。

 姉のクリスタは19年世界選手権を制したものの、ライバルのジェシカ・クリムカイト(カナダ)とのし烈な代表争いに敗れ、21年夏の東京五輪に出られなかった。失意を乗り越えて再起し、23年世界選手権で2度目の優勝を果たすと、最後の選考大会となった今年5月の世界選手権で準優勝し、悲願の五輪切符をつかんだ。「東京五輪を目指していたが、夢をかなえることができず、すごく悔しかった。柔道を続けるかどうか悩んだ時期もあったが、塩尻市にメダルを持って帰ってきたいという気持ちで3年間頑張り、やっとこの座をつかむことができた」と感慨を込めた。

 パリ五輪では金メダル候補として臨むものの、自身の攻撃的な柔道を出し切ることを目標として掲げる。「もちろん金メダルを取ることが大前提だが、子どもたちの指標になれるようにメダルを取りに行くのが五輪なので、その役目を果たしたい」と語り、子どもたちへのメッセージとして「自分は途中まで日本代表としてやってきて、カナダ(代表)に変えたが、何が正解か分からない中でやってきて思うことは『自分が正解だと思えば正解』ということを知っていてほしい。進路や夢に進む上で何が正解かわからない時に、後悔するよりも、それ(自分の選択)が正解だと信じ込んで、突き進んで夢をかなえてほしい」と、言葉に力を込めた。