(5日、第106回全国高校野球選手権福岡大会2回戦 田川科学技術・東鷹0―10須恵) 五回表、先頭打者を2ストライクに追い込むと、東鷹の吉田瑛斗捕手(3年)から「チェンジアップ」のサインが出た。連合を組む田川科学技術の国信隼太投手(3年)…

 (5日、第106回全国高校野球選手権福岡大会2回戦 田川科学技術・東鷹0―10須恵)

 五回表、先頭打者を2ストライクに追い込むと、東鷹の吉田瑛斗捕手(3年)から「チェンジアップ」のサインが出た。連合を組む田川科学技術の国信隼太投手(3年)はうなずき、直球を投げるように腕を振った。緩い球が低めへ。タイミングを外された打者のバットは空を切った。

 2人がバッテリーを組んだのは昨秋。その夏、両校は単独で福岡大会に出たが、3年生の引退で部員が5人ずつに。以前の連合経験から、再び一つのチームとして戦うことになった。ただ、合同練習ができるのは週末だけ。互いに遠慮しあう関係がしばらく続いた。

 きっかけは「筋トレ」だった。設備が整った東鷹で一緒にベンチプレスをした際、「目標、あるの?」と吉田捕手。国信投手は「初戦突破」。互いに同じ思いだと分かり、会話が弾み始めた。

 顔を合わせるたびに、一緒に鍛え、配球を話しあった。投球の幅を広げようと、吉田捕手が提案したのがチェンジアップ。2人で少しずつ精度を磨いた。

 そしてこの日、決め球が威力を発揮した。「遅くて打たれそうで怖かったけど、瑛斗を信じた」という国信投手に、吉田捕手は目を赤くして伝えた。「信じて投げてくれて、ありがとう。一緒にやってきてよかった」(太田悠斗)