「プロレス・新日本」(5日、東京武道館) 22年ぶりとなる東京武道館大会が5日、開催された。 セミファイナルではご当地である東京都足立区出身の内藤哲也とBUSHIの凱旋試合として、内藤、鷹木信悟、BUSHI組と辻陽太、高橋ヒロム、ティタン…

 「プロレス・新日本」(5日、東京武道館)

 22年ぶりとなる東京武道館大会が5日、開催された。

 セミファイナルではご当地である東京都足立区出身の内藤哲也とBUSHIの凱旋試合として、内藤、鷹木信悟、BUSHI組と辻陽太、高橋ヒロム、ティタン組のロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン対決が組まれ。30分時間切れ引き分け。内藤とヒロムはこれが初対決となり、内藤のデスティーノをヒロムがタイムボム2で切り返すなど、スリリングな攻防を繰り広げた。

 試合後、内藤がバックステージで「前回、南側5列11番で見てたから。新日本プロレスのレスラーになるためトレーニングを始めた場所はここのトレーニングルームだから。高2かな。チャンピオンとしてここに…」と感慨にひたっているところにヒロムが現れ、「俺とシングルマッチ戦ってくれよ。改めて俺にはNEVERのベルトが必要だと思った。NEVERの王者としてあなたの前に立ちたい。あなたとの誓いを果たしたいんだ」と要求した。内藤はヒロムがデビュー前、練習を指導しており、2020年3月に一度はシングルマッチが決まっていたが、コロナ禍で流れた経緯がある。

 ヒロムが立ち去ると、内藤は「そうかそうか。ま、正解はないからね。自分の信じた道を突き進んで俺の前に立ってくれ。今日初めて対角線に立ったけど、次はシングルマッチ、メインイベントで勝負しようぜ。師匠の意地を見せてやるぜ」と受諾すると、話題を地元凱旋に戻し、「またこの場所に帰ってくるよ。その時はメインイベントで試合して、思い切り叫びたい。デ・ハポン!ってね」と願った。

 メインイベントのIWGPジュニアヘビー級選手権試合は、DOUKIがエル・デスペラードを破って第97代王者となった。デスペラードは初防衛に失敗した。DOUKIはドラゴンスープレックスホールドをカウント2で返されると、必殺のスープレックス・デ・ラ・ルナで21分14秒、フォール勝ちした。

 DOUKIは「デスペラードさん、俺は今日であなたを本当の意味で超えたつもりはない。でも、最高のシチュエーションでの最高の1勝であることは変わりない。ありがとうございましたなんて言葉を言ったらそこで終わってしまう。また俺の前に立ってください」とマイクアピール。

 バックステージでは「なんで俺がこの最高峰のベルトを取れたと思う?答えは簡単だ。俺は周りに何を言われても俺のことをずっと信じてたんだよ。俺には身長も体格もない。けどな、俺には俺の良さがある。誰にも負けないという気持ちがあったからここまで来られたんだ」と、思いの丈をぶちまけていた。

 G1クライマックス出場者決定トーナメント決勝戦は、Aブロックはカラム・ニューマンがYOSHI-HASHIを、Bブロックはボルチン・オレッグがタイチをそれぞれ破り、本戦出場を決めた。

 ニューマンはYOSHI-HASHIのカルマをネックブリーカーで切り返し、11分59秒、サムソンクラッチで丸め込んで3カウント。2022年8月31日生まれのニューマンは、2011年のラ・ソンブラの21歳9カ月に次ぐ史上2番目の若さでの出場となる。

 敗れたYOSHI-HASHIはニューマンが求めた握手に応じ、バックステージでは「アイツが一枚上手だったことが事実だよ」と負けを認めた上で「俺はこんなところでくたばらないからな」と再起を誓った。

 ボルチンはタイチのシビアな攻めに苦しんだが、ブラックメフィストを着地するとリフトしてストマックブロック、ランニングニーリフトとたたみかけ、F5からカミカゼとつないで16分27秒、エビ固めで3カウント。「トーナメントがあって良かった。めちゃくちゃうれしい。矢野(通)さん、棚橋(弘至)さん、タイチさんに勝ったのはすごく自信になった。G1では絶対に優勝するよう頑張りたい」と意気込んだ。

 タイチは潔くボルチンの手を上げ、抱擁し合ったが、バックステージでは「幕下陥落だ。この時点で俺はもう関取じゃない。若手に負けてG1に出られない雑魚を笑ってくれ、ナンボでも。こうなったら今はもう新日本に俺の居場所はなくなったかもしれない。俺の中の糸が切れたような気がして。自分自身に進退を問いたいと思う。しばらく休んでゆっくり考えたい」とネガティブ発言を連発。

 棚橋、矢野、石井智宏、YOSHI-HASHI、自身とトーナメントに回ったベテランが総崩れとなったことで、若手抜てきを進める首脳陣に「思うとおりになって良かったな。俺の負けだ。降伏する。大幅減棒だろうが受け入れるよ」と白旗を揚げたが、ボルチンには「おまえだったらプロレス界の大の里になれる。必ず優勝するんだぞ、おまえならできる」とエールを送った。

 4月にバイク事故で前額部挫滅傷、顔面擦過傷、鼻根部挫創、手指挫創、頸椎捻挫、左膝擦過傷の負傷を負った田口隆祐は第3試合の10人タッグマッチで復帰した。

 試合は本間朋晃がEVILに敗れたが、田口はヒップアタックや永田裕志との白目式腕固めの競演など元気に戦い、「なんとかリングに生きて戻ってこられて、リングを降りることができた。一歩ですね」としみじみ。

 バイク事故が犬をよけてのものだったことから、「誰かのために役に立つなら、いくらでも身をなげうって助けますよ。今は本隊がピンチですから、そこにささげますよ」と力を込めた。

 また、22年前の東京武道館大会で安田忠夫を破ってIWGPヘビー級王座を初めて獲得した永田は「あれから22年たって新日本プロレスは大きく変わりました。いろんなことがあって僕もトシを取りましたけど、まだまだ健在を東京武道館大会で見せることができて良かった。今日、東京武道館大会のリングに立つことができてすごく幸せでした」と感慨深げ。

 この日も成田蓮とのエクスプロイダー合戦など躍動し、「限られた試合数の中で、できるだけどんどん自分を出したい。まだまだ老け込む選手ではありませんので」と胸を張っていた。