梅本耕孝さん(41)は、5月に米国であったベンチプレスの世界大会に初出場し、年齢別の男子66キロ級で準優勝を果たした。自分の体重の倍にあたる132.5キロを持ち上げた。 岡山県総社市出身で、東京都在住。普段はキッズトレーナーとして約100…

 梅本耕孝さん(41)は、5月に米国であったベンチプレスの世界大会に初出場し、年齢別の男子66キロ級で準優勝を果たした。自分の体重の倍にあたる132.5キロを持ち上げた。

 岡山県総社市出身で、東京都在住。普段はキッズトレーナーとして約100人の子どもたちにスポーツを指導している。

 全身筋肉にあふれているが、病気やけがに悩まされた時代があった。16歳のころ、病気で肺に穴が開きしばらく運動ができなかった。その後も椎間板(ついかんばん)ヘルニアを患ったり、骨折したり。

 倉敷工業高校を卒業後、県内での会社員時代を経て、トレーナーを育成する東京の専門学校に入学した。けがに強い体をつくりたかったからだ。

 栄養学や発達に関する知識を学び、スポーツクラブのトレーナーや短大の非常勤講師を務めた。そして、仕事の傍らボクサーを目指す。2011年にプロのライセンスを取得した。「けがや病気をしても夢はかなう」と証明したかった。

 19年にスーパーバンタム級東日本新人王決定戦にのぞんだが、敗れて引退。その後も「挑戦を続けたい」という思いから、本格的にベンチプレスのトレーニングを始めた。21年に東京都の大会で準優勝。今年の国内大会で3位に入るなどし、41歳で世界への切符をつかんだ。

 挑んだ今年5月の「世界クラシック・エクイップベンチプレス選手権大会」。同じ階級には5人が出場し、優勝は別の日本人選手に譲ることになったが、準優勝という結果を残すことができた。「桁違いに強い」優勝選手を超えて世界一になるのが次の目標だ。

 現在活動するジムの子どもたちは「メロンパン」といって、力こぶを見せると喜んでくれる。「筋力をつけるだけではなく、このスポーツにはこんな筋肉を使う、関節はこう動かすといった面白さを伝えたい」。そして、「大人になっても夢はかなうよ、と言い続けていきたい」と話す。(水田道雄)

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 ベンチプレス競技 ベンチ台に仰向けになり、バーベルをラックから外し、胸につけてから持ち上げ、ラックに戻す。1人3試技行い、持ち上げたバーベルの重さで順位を競う。重さが同じ場合、体重が軽い方が順位が上になる。主に大胸筋、三角筋、上腕三頭筋を使う。