巨人・坂本勇人内野手(35)が6月26日に出場選手登録を抹消された。打率・234、4本塁打、18打点と不調で、けがや体調不良での2軍再調整は17年ぶり。不振の原因や復活のカギについて、坂本を指導した経験もある打撃の名伯楽、内田順三氏(デイ…

 巨人・坂本勇人内野手(35)が6月26日に出場選手登録を抹消された。打率・234、4本塁打、18打点と不調で、けがや体調不良での2軍再調整は17年ぶり。不振の原因や復活のカギについて、坂本を指導した経験もある打撃の名伯楽、内田順三氏(デイリースポーツウエブ評論家)が分析する。

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 彼は右打者史上最年少で2000安打を達成し、40発を打ったシーズンもある。歴代ナンバーワンのショートと言えるだろうね。自分の中にいろいろな引き出しがあるはずだし、あれだけの選手にコーチが助言していくのは大変なんだけど、彼は向上心を持っていて聞く耳を持っている選手。周囲の助言やサポートも必要だろうね。

 以前、コーチをした時は成績が少し下火の時期(15年)だったけど、彼と話をしてどうしていくかを考えた。当時は内角のさばきはうまいんだけど、外角への対応が課題だった。つま先から前の壁を大事にしたらヘッドが走るが、前の壁が緩むと外は打てない。そのあたりを修正しようとティーバッティングなどで3、4個の練習ドリルをこなしていき、逆方向にもホームランが出るようになった。(16年は打率・344、23本塁打、75打点)。

 今回については阿部監督がリフレッシュという言葉を使っていたけど、本人もやるからには徹底してやるだろう。最も必要と思うのは、昭和の練習。ランニングをして下半身をいじめて、キレを出すことだろうね。

 今の時代に非科学的な練習のようには聞こえるかもしれないが、晩年の山本浩二さんもそうだった。体のキレがなくなり感覚がズレてくると、1軍の練習でもアメリカンノックや走り込みをして復調していた。おそらく坂本もトレーニングコーチとやっているだろうと思うけど、打撃の量を増やすとかではなく、特守や特走で違う汗のかき方でリフレッシュする必要があるだろう。疲れた状態、脱力感がある中でバットを振ると、バランスや力が入ってくるところも変わってくるからね。

 技術的な面で言えば、近年の彼を見て気になっていたことは、強く振るのはいいが少し大振りに感じる。タイミングが合っていないのか、選球眼の形を崩しているようにも感じる。三振が目につくし、粗さが目立つよね。

 本来、彼はいろいろなタイミングの取り方を持っていると思うけど、今は肩幅より広くスタンスを取って構え、大きく足を引き、反動をつけて打っている。30から40センチ足を引いているのであれば、それを10とか20センチにすれば彼本来のシュアな打撃になる。それでも長打は出ると思う。

 もうひとつ、かつては構えた時に顔を左肩の上にポンと置いたままコンタクトしていたイメージだったが、今は上半身を強くねじって反動を取っている。当たれば大きいが波があるよね。あごを置いたまま左肩の位置を変えず始動していけば自然とトップの位置は深くなる。遠くへ飛ばそうとすると反動を取ってしまうが、今季の丸のように、チャンスメーカーに徹する気持ちでいけばいいんじゃないかと思うよね。

 俺もくふうハヤテでコーチをしていて、「内田さん何歳になったの?」なんて言われるけど、年齢を思ったら行動はできない。坂本もまだまだ30代で脂が乗りきっているイメージでやったらいい。彼自身も当然、復活を考えていると思うよ。