◆陸上 ▽日本選手権 最終日(30日、新潟・デンカビッグスワンスタジアム) 女子800メートル決勝では、久保凛(16)=東大阪大敬愛高2年=が2分3秒13で初優勝した。* * * 2種目で五輪代表の田中希実(ニューバランス)に対し、16歳の…

◆陸上 ▽日本選手権 最終日(30日、新潟・デンカビッグスワンスタジアム)

 女子800メートル決勝では、久保凛(16)=東大阪大敬愛高2年=が2分3秒13で初優勝した。

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 2種目で五輪代表の田中希実(ニューバランス)に対し、16歳の久保はひるまなかった。残り約270メートルで田中がトップに立った直後、空いているインコースをかき分けて先頭に上がり、そのまま勝ち切った。同種目では16年の福田翔子(島根・松江北)以来、8年ぶり高校生チャンピオン。高校2年としては99年の西村美樹(東京)以来、25年ぶりだ。「田中選手が前に出た時に置いていかれてはいけないと思い、スパートできた」。初出場の日本選手権で四半世紀ぶりの快挙を成し遂げた久保は笑顔で振り返った。

 サッカー日本代表のMF久保建英(23)=Rソシエダード=のいとことして知られ、167センチの長身を生かしたスケールの大きな走りが持ち味。「緊張もありましたが、緊張も楽しめました」。世界を舞台に常に自信を持ってプレーする久保建英と同様の強心臓ぶりも見せた。

 29日の予選後、決勝の目標としてパリ五輪の参加標準記録(1分59秒30)突破を掲げていた。杉森美保が05年にマークした2分0秒45の日本記録を超え、日本女子では前人未到の1分台への強い意欲だった。パリ五輪には届かなかったが「来年は世界を目指したい」と25年東京世界陸上を見据えた。それだけにとどまらず、「4年後に向けて今日からまた練習に取り組みたい」と早くも28年ロス五輪への思いを明かした。

 U20日本選手権女子800メートルには東大阪大敬愛高のチームメートが2人も決勝に進出。普段からレベルの高い練習を積んでいる証しだ。16歳の潜在能力は無限大。「サッカーの久保建英のいとこ」は今日まで。確かに「久保凛」というトップアスリートの座を確立した。

 ◆久保と田中の直接対決 初対決は4月の金栗記念(熊本)での女子800メートル。残り400メートルで田中が先頭に立ったが、ゴールまで50メートル付近で久保が逆転した。2戦目の今大会も残り約270メートルで田中がトップに立った直後、久保が先頭を奪取。ラストの直線で突き放した。

 ◆主ないとこ同士 陸上パリ五輪男子走り幅跳び代表の橋岡優輝(25)=富士通=とサッカー日本代表DF橋岡大樹(25)=ルートン=は、ともに21年東京五輪に出場。サッカー11年女子W杯優勝メンバーの田中明日菜(36)=韓国・華川=のいとこは元NMB48のタレント渋谷凪咲(27)。

 ◆久保 凛(くぼ・りん)2008年1月20日、和歌山・串本町生まれ。16歳。小学1年から6年まではサッカー選手。潮岬中入学時から本格的に陸上を始めた。東大阪大敬愛高に進み、昨年8月は高校1年にして全国高校総体800メートル優勝。初の国際舞台となった同月の日・韓・中ジュニア交流競技会でも優勝。今年3月には800メートルで高1歴代最高の2分5秒13をマーク。サッカーで国体出場経験のある父・建二郎さんは、サッカー日本代表MF久保建英(Rソシエダード)の叔父。