今週末の6月29日から、東では福島、西では小倉と、本格的な夏競馬がスタートする。両競馬場ともに小回りで直線が短いのが特徴で、東京、中山、京都、阪神といった4主場とは異なる傾向になりがちだ。今回はこのふたつの競馬場の過去5年の種牡馬別成績を…

 今週末の6月29日から、東では福島、西では小倉と、本格的な夏競馬がスタートする。両競馬場ともに小回りで直線が短いのが特徴で、東京、中山、京都、阪神といった4主場とは異なる傾向になりがちだ。今回はこのふたつの競馬場の過去5年の種牡馬別成績を見ながら、攻略法を探っていこう。

【福島・芝】

 まずは福島・芝から。勝利数+2着数はディープインパクトがトップだが、勝率は2位のゴールドシップ産駒のほうが高い。ゴールドシップ産駒は夏に限らず、福島・芝は全競馬場で最多の32勝と好成績を残しているが、夏競馬13勝の内訳を見ると1800mで9勝、2000mが2勝、2600mが2勝となっている。

人気薄の大駆けも多く、2020年に1800mの2歳新馬戦で勝ったアオイゴールドは10番人気で単勝37.8倍。13勝の単勝平均は1012円と高い。

 また、10位のシルバーステートは出走数がディープインパクトの3分の1ほどだが、勝率はベスト20の中でトップ。昨年はGⅢの七夕賞(2000m)でセイウンハーデスが2番人気で勝利し、福島テレビオープン(1200m)でコムストックロードが10番人気2着と、距離、人気問わず上位を争っている。6勝の距離内訳は1800m3勝、1200m2勝、2000m1勝と幅広く、どんな条件でも狙える種牡馬だ。

【福島・ダート】

 続いては福島・ダート。1位のヘニーヒューズは昨年のJRAダートリーディングサイアーでもあり、福島でも変わらず安定している。8位のベーカバドは出走数が少ないながらも高勝率。4勝中2勝が一昨年と昨年の1700m戦を勝ったプリンスミノルで、同馬は現在オープンで活躍中。7月21日のジュライS(1700m)に出てくれば有力だろう。

 5位アジアエクスプレスの4勝はすべて1150mで、1150mに限ると勝率は11.8%から15.4%に跳ね上がる。2020年には2歳新馬戦で12番人気のキモンブラウン(牝)が勝利し、単勝57.1倍の大穴をあけている。馬券に絡んだ8戦中6戦が稍重以上と、渋り気味の馬場だったのもポイントだ。

【小倉・芝】

 続いては小倉・芝。上位の顔ぶれは総合ランキングと大きく変わらない印象で、特に重賞戦線で狙いたいのが2位ロードカナロア。直近でも、2020年のGⅢ小倉記念(アールスター/10番人気)、2021年のGⅢCBC賞(ファストフォース/8番人気)、2022年のGⅢ北九州記念(ボンボヤージ/16番人気)、2023年GⅢ小倉2歳S(アスクワンタイム/5番人気)と4年連続で重賞を勝利している。比較的人気薄の馬が勝利しているのも注目だ。

 11位以下で注目しておきたいのが、勝率トップの12位キタサンブラックだ。産駒の初出走は2021年なので、わずか3年での成績だけに優秀だ。10勝の内訳を見ると8勝が1800m、2勝が2000mで、うち2歳戦が7勝となっている。

 人気馬の勝利が多く、2022年にはガイアフォースが1勝クラスの国東特別(2000m)をコースレコードで圧勝し、続くGⅡセントライト記念(中山・芝2200m)を勝利。同年に2歳新馬戦(1800m)を勝ったラヴェルは、続くGⅢアルテミスS(東京・芝1600m)でリバティアイランドを下すなど、秋の重賞ウイナーがそのきっかけをつかむ地でもある。

【小倉ダート】

 最後に小倉・ダート。この条件ではシニスターミニスターが勝利数、勝率ともにダントツで、1700mで9勝、1000mで8勝と、距離を問わず安定している。昨年の阿蘇S(1700m)を勝ったキングズソードは続く地方交流GⅠJBCクラシック(大井・ダート2000m)を勝利した。勝率、連対率は1000mのほうが高く、2021年の3歳未勝利戦(1000m)では単勝168.8倍の12番人気アシタバが3着に入り、複勝3050円の波乱を演出している。

 ダート1700mに限るとトップになるのが4位ルーラーシップで、同馬が小倉・ダートで馬券に絡んでいるのはこの距離だけ。穴馬の激走も多く、昨年の阿蘇Sでは16頭立て16番人気のダンツキャッスル(単勝402.4倍)が3着に入り、複勝5470円、3連単1014440円の波乱の立役者となった。

 以上、夏の福島と小倉の注目種牡馬をピックアップした。今回挙げた種牡馬の産駒から激走馬が出ることを期待したい。