「ヤクルト(降雨中止)阪神」(28日、神宮球場) 阪神・野口恭佑外野手(23)が28日、初の1軍昇格を果たし、本隊に合流した。この日のヤクルト戦(神宮)は雨天中止となったが、室内練習場で汗を流し、決意を口にした。育成出身の野手がデビュー戦…

 「ヤクルト(降雨中止)阪神」(28日、神宮球場)

 阪神・野口恭佑外野手(23)が28日、初の1軍昇格を果たし、本隊に合流した。この日のヤクルト戦(神宮)は雨天中止となったが、室内練習場で汗を流し、決意を口にした。育成出身の野手がデビュー戦で安打を放てば球団初。高校、大学とプレー経験のある思い出の神宮球場で躍動し、岡田監督の期待に応えることを誓った。

 雨の中、バスから降り立った。野口は室内練習場を前にすると「久しぶりに来たな~」と懐かしそうに笑った。ついに訪れたチャンス。強まる雨脚に比例するように、強い決意を口にした。

 「やっていくだけだと思うので、しっかり気持ちを引き締めてやりたい」

 22年度育成ドラフト1位で入団。秋季キャンプで岡田監督の目に留まり、支配下登録をつかみ取った。初の1軍入りを果たした春季キャンプでも柵越えを連発し、注目の的に。しかし、オープン戦では結果を残せず開幕2軍となった。

 それでも今季ウエスタン56試合で185打数57安打、打率・308、26打点、1本塁打を記録。直近は9試合連続安打、4試合連続打点と好調を維持し、初の1軍昇格を手にした。「(雰囲気は)全然ファームと違うんですけど、キャンプで1軍を経験してるので。それが生きてると言いますか、生かしていきたい」。ここからは前川、森下、豊田、島田らと外野の定位置を争う。「バッティングで一番アピールしたい」ともちろん武器は打撃だ。

 この日の練習を見守った岡田監督も「今日のバッティングもええやん。今のままでええと思うよ。1軍に上がったからバッティングを変える必要もないし」と成長に目を細めた。野口も「(岡田監督に)『ヒットらしいヒット打ててきたな』みたいな声をかけられた」と話し、「期待に応えられるように頑張ります」と気合十分だ。

 1軍デビューの可能性がある神宮は、慣れ親しんできた球場だ。創成館では2年秋の明治神宮大会準決勝で大阪桐蔭を破り準優勝。九産大では3年秋にも明治神宮大会に出場するなど、何度もこのグラウンドでプレーしてきた。大学3年の時以来の神宮に「思い入れがある球場。ここでもしっかりやっていけたら」と力を込めた。

 育成出身の野手がデビュー戦で安打を放てば、球団初となる。そんな偉業を思い出の神宮で飾る可能性もあるが、「意識したらちょっとダメなんで(笑)。とにかく1打席1打席集中していけたら」とあくまで気負い過ぎず臨む。ここからが本当の勝負。必死に食らいつき、チャンスをモノにする。

 ◆野口 恭佑(のぐち・きょうすけ)2000年7月17日生まれ、23歳。長崎県出身。180センチ、86キロ。右投げ右打ち。外野手。創成館、九産大を経て22年度育成ドラフト1位で阪神入団。昨年11月に支配下登録。今季ウエスタンは56試合で打率.308、1本塁打、26打点。