◆陸上 ▽日本選手権 第2日(28日、新潟・デンカビッグスワンスタジアム)  男子5000メートルは、21年東京五輪1万メートル代表の伊藤達彦(ホンダ)が日本歴代7位の13分13秒56の好記録で優勝した。中盤までは、大迫傑が2015年7月に…

◆陸上 ▽日本選手権 第2日(28日、新潟・デンカビッグスワンスタジアム)

  男子5000メートルは、21年東京五輪1万メートル代表の伊藤達彦(ホンダ)が日本歴代7位の13分13秒56の好記録で優勝した。中盤までは、大迫傑が2015年7月にマークした13分8秒40の日本記録を超えるハイペースで展開。2位の森凪也(ホンダ)も13分16秒76、3位の鈴木芽吹(トヨタ自動車)も13分17秒75の自己ベスト記録をマークした。

 学生トップの4位となった青学大の鶴川正也(4年)は、屋外レースとしては日本人学生歴代最高の13分18秒51で走破した。今年1月に米国ボストンの室内競技会で駒大の佐藤圭汰(当時2年、現3年)がマークした13分9秒45には及ばなかったが、2007年7月に早大の竹沢健介がマークした屋外レースの日本学生歴代最高の13分19秒00を17年ぶりに破った。

 スタンドで鶴川の激走を見守った青学大の原晋監督(57)は「鶴川は大迫君の日本記録を破って、さらには日本人初の12分台を狙ってもらいたい。その力があります。来年の東京世界陸上、28年のロス五輪では日本代表として世界で戦ってほしい」と期待を込めて話した。

 鶴川は熊本・九州学院3年時に全国高校駅伝「花の1区」(10キロ)で区間賞を獲得するなど、世代トップレベルの選手として青学大に入学したが、これまで学生3大駅伝の出場は3年時の出雲駅伝6区8位だけ。青学大が大会新記録で2年ぶり7度目の優勝を飾った今年1月の第100回箱根駅伝でも16人の登録メンバーから外れた。同3区で日本人歴代最高タイムで区間賞を獲得し、優勝に貢献した太田蒼生(4年)ら同期に比べ、鶴川は「今まで僕は期待外れに終わっている」と自身の置かれている状況を正面から受け止めている。それだけに4年目にかける思いは強い。

 今季初戦の焼津みなとハーフマラソン(4月)では大会運営サイドのミスでコースが短くなるというアクシデントがあったが、1時間2分49秒の参考記録で優勝。さらに関東学生対校選手権(5月)では2部5000メートルで優勝。一昨年、昨年と2年連続で日本人トップの3位だったが、ついに留学生に競り勝った。「4年目になって、やっと自分の走りを戻せたと思います」と前向きに話した。

 今後に向けて、鶴川は「4年目の箱根駅伝は、どの区間でもいいので、必ず、走って、チームの優勝に貢献したい」ときっぱり話す。20キロ超の箱根駅伝で体力をつけた後は、トラックで世界を目指すことになる。