「広島4-3ヤクルト」(27日、マツダスタジアム) 広島が今季初のサヨナラ勝ちで3度目の同一カード3連勝を飾った。1点を追う九回2死一、二塁で坂倉将吾捕手(26)が左翼へ逆転の2点二塁打を放った。直前の2死二塁では石原貴規捕手(26)が1…

 「広島4-3ヤクルト」(27日、マツダスタジアム)

 広島が今季初のサヨナラ勝ちで3度目の同一カード3連勝を飾った。1点を追う九回2死一、二塁で坂倉将吾捕手(26)が左翼へ逆転の2点二塁打を放った。直前の2死二塁では石原貴規捕手(26)が13球粘って四球を選び、チャンスを広げた。チームの貯金は今季最多の9。勢いに乗り、28日から東京ドームに移動して巨人3連戦に臨む。

 ユニホームを雨粒でぬらしながら両手を突き上げ、坂倉は喜びを爆発させた。ベンチから全員が飛び出し、祝福を受ける歓喜の瞬間。今季初のサヨナラ勝利を演出したヒーローは「最高でーす!」と絶叫した。悪天候の中でも声援を送ってくれた鯉党に、最高のエンディングを届けた。

 劇的な結末は1点を追う九回に訪れた。先頭・上本が右前打を放ち、小園の犠打で1死二塁。2死後、石原が四球でつなぎ、坂倉に打席が巡った。田口の4球目を振り抜き、「思ったより詰まったけど、早く落ちなかったんで『あ、捕られるな』と思ってました」。しかし、懸命に前進した左翼手のダイビング捕球も及ばず、白球は芝生の上で弾んだ。

 打球が転々とする間に2人の走者が生還。熱気に包まれる本拠地の真ん中で仲間と熱い抱擁を交わし、もみくちゃにされながらサヨナラ勝ちを存分に味わった。「やっぱりうれしい。決めたのは僕なんですけど、その前に試合の流れというのはありますし。タカシさん(上本)から始まって、つないでくれたおかげだと思う。みんなで勝った試合だと思います」と全員でつかんだ白星だと強調した。

 その坂倉の一打をお膳立てしたのは、2死二塁で四球を選んだ石原だ。3球で追い込まれながら際どいボール球を見極め、フルカウントから5球連続ファウルで粘って13球目を見極めて、出塁した。石原は「後ろがサク(坂倉)と菊さん(菊池)なので、つなげばなんとかなると思っていた。ファウルでついていけたことは良かった」と笑顔で振り返った。

 興奮気味にベンチを飛び出した新井監督は石原の粘りに「彼の気迫が伝わってきた」と称賛。「サクも本当、よく打ちました。(石原が)粘っている間、サクの表情を見ていたけど、ものすごく気合が入っている顔をしていたんで『これ、やってくれるぞ』と期待してました」。最高の形で応えてくれた選手たちの奮闘が心に響いた。

 坂倉自身は26日に80打席ぶりの本塁打を放ち、この日もサヨナラ打と貢献。打率は2割台前半ながら、復調の兆しを確実に示している。チームは3連勝で今季最多の貯金9。「気持ち的に、いい方向にいくのは間違いないと思うし、ここから上げていけるように」と背番号31。雨の中で全員を笑顔にさせた快音は、さらなる首位進撃へ向けての号砲となる。