国際ステージレースの「ツアー・オブ・ジャパン2024」第3ステージ「いなべステージ」が、5月21日、三重県いなべ市で開催された。用いられるのは、三岐鉄道北勢線の終着駅である三重県いなべ市の阿下喜駅前をスタートする1周14.8kmのいなべ市梅…

国際ステージレースの「ツアー・オブ・ジャパン2024」第3ステージ「いなべステージ」が、5月21日、三重県いなべ市で開催された。

用いられるのは、三岐鉄道北勢線の終着駅である三重県いなべ市の阿下喜駅前をスタートする1周14.8kmのいなべ市梅林公園周回コース。スタート後、テクニカルなコーナーが続いた後、ベルギーのクラシックレースを思わせる道幅が狭く、最大勾配17パーセントの激坂へと向かう。山岳賞ポイント通過後はいったん下り基調となり、中間地点を越えたあとは、再びじわじわと上り始め、「イナベルグ」の愛称で親しまれる道幅の狭い急坂区間を経てフィニッシュに至る。レースは、このコースを8周する127.0kmで競われる。





厳しい登坂が含まれるいなべ市梅林公園周回コース



日沖いなべ市長や、このステージのホストチームであるキナンレーシングチームの「みえジュニアチーム」メンバーらがパレード走行に加わった©️TOJ2024

スタートラインの最前列には各カテゴリー首位の選手が、リーダージャージ姿で並んだ。個人総合首位のグリーンジャージは、マックス・ウォーカー(アスタナ・カザクスタン・ディベロップメントチーム)が守っている。ポイント賞のブルージャージは前日優勝したマッテオ・マルチェッリ(JCLチーム右京)、山岳賞のレッドジャージは中井唯晶(シマノレーシング)、新人賞、U23首位のホワイトジャージは寺田吉騎(シマノレーシングチーム)が着用している。



レッドジャージの中井唯晶(シマノレーシング)、グリーンジャージのマックス・ウォーカー(アスタナ・カザクスタン・ディベロップメントチーム)、ブルージャージのマッテオ・マルチェッリ(JCLチーム右京)、ホワイトジャージの寺田吉騎(シマノレーシングチーム)©️TOJ2024

集まった観客の声援に送られて、選手がスタート。



いっせいにスタート©️TOJ2024



選手らを見送る地元のこどもたち©️TOJ2024

強風の影響もあり、集団からアタックがかかるも、決定的な抜け出しが決まらないまま1周目を終了した。



コース内にはアップダウンやカーブが散りばめられている©️TOJ2024



山岳賞が設定された最標高地点からは、美しい景観が望める©️TOJ2024

2周目に設定された山岳賞では集団から中井唯晶(シマノレーシング)が山岳賞ジャージを守るべく飛び出し、先頭で通過。しっかりと山岳ポイントを加算した。
その後も飛び出しを狙った動きが続くものの、決定的な動きは生まれない。3周回目完了時のスプリントポイントはモフド・ザリフ(トレンガヌサイクリングチーム)が先頭通過し、ポイントとボーナスタイムを獲得した。

ようやくレースに動きが生まれたのは、折り返しに向かう4周目の終盤だった。コース終盤に設定された大会名物の坂「イナベルグ」で、カーター・ベトルス(ルージャイ インシュアランス)、草場啓吾(愛三工業レーシング)、ジョバンニ・カルボーニ、小石祐馬(共にJCLチーム右京)、ドリュー・モレ(キナンレーシングチーム)、ザッカリー・マリッジ(チームブリッジレーン)、アナトリー・ブディアク(トレンガヌサイクリングチーム)の7名が抜け出したのだ。この中で個人総合上位なのは6位につけるカルボーニ。実力のあるメンバーも入っているが、集団も容認し、先頭グループを形成した。



7名が集団から抜け出した©️TOJ2024

7名はハイペースで走り、4周目完了時にはメイン集団に対し 1分39秒もの差をつけていた。
5周目の山岳賞は、逃げ集団からモレが先頭通過しポイントを加算。6周目完了時のスプリントポイントも、逃げ集団の中から、カルボーニが先頭通過した。



メイン集団をコントロールするアスタナ・カザクスタン・ディベロップメントチーム©️TOJ2024

前日集団をコントロールしたJCLチーム右京は、先頭集団にカルボーニらを送り込んでいるため、集団管理には加わらず、アスタナ・カザクスタン・ディベロップメントチームが中心になって集団を牽引するが、足並みが揃わず、思うようなペースアップが図れない。
両者の差は詰まらず、7周回目完了の段階で、先頭と集団とのタイム差は、まだ1分10秒を保っていた。1名遅れ、6名になっていた先頭の逃げきりが濃厚となった。



メイン集団との差は縮まらず、逃げきりが濃厚となった©️TOJ2024



フィニッシュ横を埋める観客たち。平日にも関わらず、多くの観客が会場に集まった

最終周回、さらに1名が遅れ、5名となった先頭集団の中では、アタックや牽制が繰り広げられる。集団とのタイム差は縮まらず、また1名がふるい落とされ、ハイスピードのままフィニッシュ向かう4名の中でのスプリントで勝敗が決されることとなった。

フィニッシュに向かいペースアップされる中で、積極的に前を走っていたカルボーニがそのまま最初にスプリント態勢に入った。ブディアクがここに食らいつくが、カルボーニは先頭を譲らず、片手を突き上げて、トップでフィニッシュ。メイン集団に1分33秒ものタイム差をつける価値あるステージ優勝を上げ、総合も大きくジャンプアップすることになった。



逃げ切り優勝を決め、総合も大きくジャンプアップしたジョバンニ・カルボーニ(JCLチーム右京)©️TOJ2024

2位にはブディアク、3位にモレが入っている。
カルボーニはこの結果で総合リーダージャージとポイントジャージを獲得。新人賞はステージ5位のマリッジへと移った。



グリーンジャージを手に入れたカルボーニ©️TOJ2024

総合、ポイント賞で一気にジャンプアップを叶えたカルボーニは、このステージがハードであることは事前に聞いていたという。「3周目で(小石)祐馬と一緒に逃げに入ることができ、彼がいなければ今日の展開にはならなかったと思う」とチームメイトへの感謝を述べた。「逃げグループでは協調体制がなかなかとれず、最後は自分が先行してフィニッシュへ向かった」と振り返った。

登坂力が重要となるステージが多い大会の中、翌日には岐阜の美濃ステージは、スプリンターたちにもチャンスのあるステージ。迫力あるレースが期待された。

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【結果】
第3ステージ・いなべステージ(127.0km)

1位/ジョバンニ・カルボーニ(JCLチーム右京)3時間10分52秒
2位/アナトリー・ブディアク(トレンガヌ・サイクリングチーム)+0秒
3位/ドリュー・モレ(キナンレーシングチーム)+3秒
4位/カーター・ベトルス(ルージャイ・インシュランス)+4秒
5位/ザッカリー・マリッジ(チームブリッジレーン)+23

【個人総合時間賞(グリーンジャージ)】第3ステージ終了時
1位/ジョバンニ・カルボーニ(JCLチーム右京)5時間55分10秒
2位/アナトリー・ブディアク(トレンガヌ・サイクリングチーム)+14秒
3位/カーター・ベトルス(ルージャイ・インシュランス)+17秒

【個人総合ポイント賞(ブルージャージ)】第3ステージ終了時
1位/ジョバンニ・カルボーニ(JCLチーム右京)42p

【個人】総合山岳賞(レッドジャージ)第3ステージ終了時
1位 /中井唯晶(シマノレーシング)15p

【チーム総合成績】第2ステージ終了時
1位/アスタナ・カザクスタン・ディベロップメントチーム 8時間13分28秒

画像提供:ツアー・オブ・ジャパン2024(©️TOJ2024)

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ツアー・オブ・ジャパン2024レポート
第1ステージ「堺ステージ」
第2ステージ「京都ステージ」