世界のトップ選手だけが参加できる米国の「マスターズ水上スキー・ウェイクボードトーナメント」に、大分県中津市の県立中津南高校耶馬渓校3年の中村成(じょう)さん(17)が日本人の水上スキーヤーとして初めて出場した。結果は4位で表彰台には一歩届…

 世界のトップ選手だけが参加できる米国の「マスターズ水上スキー・ウェイクボードトーナメント」に、大分県中津市の県立中津南高校耶馬渓校3年の中村成(じょう)さん(17)が日本人の水上スキーヤーとして初めて出場した。結果は4位で表彰台には一歩届かなかったが、同世代のライバルたちと互角に戦える手ごたえをつかんだ。

 中村さんは父親の影響で2、3歳のころから水上スキーを始めた。放課後や休日、耶馬渓ダム(中津市耶馬渓町)にある耶馬渓アクアパークで練習を続けている。2022年にアジア選手権ジュニア部門で個人総合優勝を果たし、23年の世界選手権には「飛び級」で日本代表にも選ばれた。

 マスターズは64回の歴史があり、個人のトップを決める権威のある大会。世界選手権は国の代表になれば出られるが、マスターズは基準の記録を超えないと出場資格がない。中村さんは今年春に米国で合宿中、コーチから「君ならマスターズでいいところまでいける」と励まされ、挑戦を決めた。

 大会は5月、米国・ジョージア州などで予選と本選があった。中村さんは17歳以下のジャンプ種目で、1枠を15人が争った最終予選を突破。米国やドイツ、カナダなど7人の選手たちと本選で戦い、1位の記録に1・9メートルまで迫る49・8メートルを飛んで4位に入った。

 NPO法人「日本水上スキー・ウエイクボード連盟」によると、水上スキーでマスターズに出場した日本人は中村さんが初めて。

 連盟の坂田伸一理事長(61)は「日本と欧米ではかなりレベル差があり、特にジュニアで世界が設定した記録を超える選手は成君までいなかった」と説明する。

 中村さんは「本選までいけるとは思っていなかったので、率直にうれしい。世界と戦う自信になった」と話す。

 この経験を糧に、次は7月末からカナダである世界ジュニア選手権で表彰台を狙う。(ライター・大畠正吾)