気象庁は21日、関東甲信地方が梅雨入りしたとみられると発表した。これからは競馬ファンにとって、頭悩ましい時期だろう。出馬表を開く前に「どのぐらい雨が降るのか」、「馬場はどこまで悪化するのか」などと、天気予報とにらめっこしているファンも多…

 気象庁は21日、関東甲信地方が梅雨入りしたとみられると発表した。これからは競馬ファンにとって、頭悩ましい時期だろう。出馬表を開く前に「どのぐらい雨が降るのか」、「馬場はどこまで悪化するのか」などと、天気予報とにらめっこしているファンも多いのではないか。

 ゲリラ豪雨や雷をともなう場合など、よほどのケースを除いて雨でも競馬は行われるが、昔は事情が異なっていたようだ。2001年に発行された『大井競馬のあゆみ―特別区競馬組合50年史』(特別区競馬組合発行)によれば、「当時(1930年〜40年代)の地方競馬では、雨天順延が当たり前であった」と記載がある。

 いまでは水はけもかなり良くなり、コースによっては驚くほど短時間で馬場状態が回復するケースも。だが、昔はひとたび雨が降れば、場内や馬場には水たまりが出来ていたと聞く。場内設備も整っていない競馬場も多かったが、日本有数の売上規模を誇っていた八王子競馬場には、屋根付きのスタンドがあった。ならば雨天でも開催に影響は無い。「雨でもやります明るい競馬」を都営競馬のキャッチフレーズ第1号にしたのだった。

 雨天順延と言っても、程度によって開催の認否がわからない。また、当時はインターネットはおろか、テレビやラジオ、電話さえ普及していない時代。問い合わせる術など無いに等しく、わざわざ地理的条件の悪い八王子競馬場まで訪れたファンに迷惑をかけてしまう。そういった背景から、雨でも開催することをウリにしていたようだ。

 雨の中、泥んこになって懸命に走る人馬には心打たれる。馬券予想をする上では頭痛い季節になるが、梅雨時も競馬を楽しんでいきたい。