“平成のテロリスト”として名を馳せた村上和成(50)が、昨年末にストロングスタイルプロレス(SSPW)に突然復活。圧倒的な強さを見せる村上を見て、現レジェンド王者であり佐山サトルの愛弟子である間下隼人(37)が「俺はあんたと戦いたいんだよ!…

“平成のテロリスト”として名を馳せた村上和成(50)が、昨年末にストロングスタイルプロレス(SSPW)に突然復活。圧倒的な強さを見せる村上を見て、現レジェンド王者であり佐山サトルの愛弟子である間下隼人(37)が「俺はあんたと戦いたいんだよ!」と次期挑戦者に指名した。だが後楽園ホール大会(6月20日、午後6時30分)での王座戦が決まったものの、間下の言葉が響く様子のない村上はこの試合にどのような思いを持って挑むのか? SSPWが20日までにインタビューを公開した。

-昨年SSPWに帰ってこられましたけれど、今のSSPWに関しての印象は

村上 プロレスラーらしくなってる選手が2人しかいない(スーパー・タイガー、間下隼人)んですよね。あの2人見ても「プロレスラーらしくなった」というだけですかね。

-やはり興味があるのは、佐山サトルが作った団体だからだと

村上 そうですね。やっぱりそこに対してはすごく僕の中では重きを置いておいていて。僕が本当にこの業界に入ってくる道しるべとなったのは佐山さんで、猪木さんっていうのは僕の最終的な背中を押してくれた人。道を引いてくれた人間っていうのは佐山さんでしかなくて。格闘技をやり始めて、サンドバッグとかミットを教えてもらったのが佐山さんですし、それはもう僕の中ではすごく縁を感じています。

-佐山先生とは様々な縁があった

村上 僕が格闘技をやります、自分の道場を作りますと言ったときに、いの一番に佐山さんが僕に連絡をしてくださって。そのまま猪木事務所に呼ばれて「2年前から言ってた選手は彼ですよ」って猪木さんに僕のことを紹介してくれたんです。僕の中ではプロレスというカテゴリーは全く知識がゼロで、猪木さんに普通に挨拶しましたけどよくわかっておらず。でもその1週間か10日ぐらい経って、突然「ロスにおーちゃん(小川直也)がいるから一緒に練習してもらいたい」と。小川さんっていうのは柔道をやっていた僕の中でスーパースターですから、その方と一緒に練習ができるって、本当に柔道界にいたらあり得ない話ですよ。僕の中でもこれほどラッキーなことないなって思い、そのままロスに行きました。それを全てお膳立てして導いてくださったのは佐山さんなんです。

-常に頭の中のどこかには佐山先生がいた

村上 どんな時でも「やっぱり佐山さん元気かな?」って思って調べて、そこから今の団体のことを知ることにもなる。でも正直今の団体は佐山さんのやりたいことに対して周りが的外れなことをしてんじゃないの? っていう気はすごくしているし、僕の中ではあくまで佐山サトルというのは神輿であって、それをしっかりと最後の最後まで担げない、担ぐ人間がいなさすぎる。ぶら下がり健康機みたいな感じな奴ばかり。-その中で今回佐山先生の団体のベルト挑戦が決まりましたけれど、以前もスーパー・タイガーへの王座戦などが決まっていました。2回王座戦が流れた上で今回改めてという部分で、当時のベルトへの想いと今の想いは違うと思うんですけれども

村上 僕の中でベルトということは、どの試合であろうがどんな相手だろうが脇でしかなくて。全てがその1戦で「僕のプロレス人生が終わるかもしれない」っていう思いでリングに上がるので、絶対に悔いを残したくない、もう絶対相手を潰すということしか考えてなくて。そこにたまたまベルトというプラスアルファ、お土産があるだけの話であって。でもベルトというものにはすごく権威があると思ってるんです。だから肩にかける奴とかね、ベルトって腰じゃないの?っていうイメージがすごくあって自分の中では。だからそこだけは今のストロングスタイルの礼儀を正したいな、もし巻くことがあれば。

-1試合1試合が覚悟の連続

村上 猪木さんにも何度も言ったことあるんですけど「プロレスを全く教えるんじゃない」という指令のもとで、受け身を取ったこともなければ、ロープワークをしたこともなければ、ロックアップをする技術すら教えてもらっていない。本当に何年も何十年も経ってからこれはまずいなと。ケガがやっぱり多いわけですよね。でも「お前というものを確立したからいいじゃねぇか」って。それはそうなんですけど、やっぱり自分の中でこれからっていう時とか、やっぱりどうしてもケガをする。でも猪木会長は「それでお前はな~」なんて言って結局その答えも出ずのまま笑って「美味いもん食べようや」って…なんてことが2、3度ありました。

-さすが猪木さんですね

村上 だから僕の中でこういうやつにはこうだなとか、結局僕が受けたものに関して答えを解いていく。それが集まったものが後々の答え。本当にここは大丈夫かな? って思った時期も多々ありましたけど、ある意味貫いてきたことで今の僕という人間が出来上がってるんで。ぶっちゃけ誰も真似できないと思うんで本当に。真似事する人はいると思いますけど、真似することは全然いいと思うし真似をされるようにならなければいけないといつも思ってるんで。やっぱり佐山さんの後ろに猪木会長いますしそこの精神は受け継いでるつもりです。

-今回ベルト挑戦が決まったときは村上選手コールで一色になったというか、観客席からの期待値が高かったわけですが

村上 だから、これ答えですよ。でも逆に言えば、こいつ(間下)は失うものはないわけです。ある意味ベルトは持ってるけど、ある意味失うものはなく。今回の試合でこいつが勝つか負けるかというよりも、本当に佐山精神をどこまでこいつが心底リングで伝えられるのか? どこまで持っているのかっていうところで、お客さんに間下がトップだなと思わせるチャンスだと思うんですよ。ま、僕は絶対負けませんけどね。絶対潰しますけど。と言っても、こいつとは勝ち負けを超えた勝負はできると思います。それは佐山さんに対する恩返しもあるし、原点であるこのプロレス界に対する僕の経緯です。

-今のトップの佐山サトルの弟子である間下隼人に対して、自分のものを伝承していきたいと

村上 僕が佐山さんから感じて受けた物というものを、こいつにぶち込もうと思ってます。お前は何を佐山さんから受け継いできたのかっていう、その見えない芯の部分で魂をぶつけ合って。そうすることでどんな音が響くのかなと。それがとてつもなく汚い音になるかもしれないし、とてつもなく綺麗な音になるかもしれないし、それは僕らも感じてみないとわからないですけど。やっぱりそれを聞いたお客さんがどう反応するのか。間違いなくどこでも、今までなかなか聞いたことない、多分ストロングでも聞いたことない音は聞けると思います。その自信はあるし、それぐらいの想いと覚悟でリング上がるんで。それぐらいの覚悟でやっぱりお客さんにはプロレスを見てほしいなと思うし。

-ありがとうございました。最後にこの試合にかける想いを

村上 そうですね。この挑戦、僕は挑戦者であるわけなんですけど、僕はいつもどんなときでも相手をのすっていう気持ちしかなかった。自分が決めた道はそのまま真正面から切っていくし、変な小細工もしたくないので、僕のこの思いを相手にストレートにぶつけて、まあそれで相手が逃げるのか、向かってくるのか。向かってきたものを僕はどう返すのか。本当にその気持ちの部分が90%になると思うんで、僕はもう本当に絶対気持ちでは負けないんで、その生き様というか、人ってここまでこうなるのかというところをみんなに見てもらいたいなと。