【岩手】(春季東北大会決勝 花巻東3―2弘前学院聖愛) 両チーム無得点の八回表1死一、三塁。ピンチの場面だったが、マウンドにあがった花巻東の小松龍一投手(3年)はうれしさもあった。 「やっと投げられる」。昨夏の甲子園で8強入りに貢献した好…

 【岩手】(春季東北大会決勝 花巻東3―2弘前学院聖愛)

 両チーム無得点の八回表1死一、三塁。ピンチの場面だったが、マウンドにあがった花巻東の小松龍一投手(3年)はうれしさもあった。

 「やっと投げられる」。昨夏の甲子園で8強入りに貢献した好投手だが、不調もあり、この春は県大会から東北大会準決勝まで登板がなかった。

 春、初めての公式戦登板。ただ、強豪相手の決勝戦。初球をバント安打され、1点を先取された。暴投で進塁を許す。しかし、後続を三塁ゴロなどに抑え、追加点を許さなかった。

 1―1で迎え、タイブレークで走者を一、二塁においた延長十回表。1死後、自らの悪送球で進塁を許し、犠飛で勝ち越しを許した。「自分のミスで1点をあげてしまった」。ただ続く打者は三振に。1失点で切り抜け、味方の逆転勝ちにつながった。

 「自分の強みは甲子園や国体などを経験したことで、ピンチの場面で流れに負けないところ」と小松投手。決勝でも流れを渡さず、踏ん張った。

 佐々木洋監督は「チームの軸にもなる投手。昨夏も出場した経験豊富で、四死球を出さない頼れる投手」と評する。

 甲子園を目指す戦いはもうすぐ始まる。「去年は先輩に連れて行ってもらったが、今度は自分たちの代で行く。もっとチームの力になりたい」。もう一度、あの舞台に立つためにラストスパートをかける。(藤井怜)