11日にベルーナドームであった埼玉西武ライオンズ対広島東洋カープ戦。 リーグトップタイの7勝目を挙げた広島の床田寛樹は、ヒーローインタビューの最後、西武ファンが陣取る観客席に向かって言った。 「西武ファンのみなさん、中村祐太をよろしくお願…

 11日にベルーナドームであった埼玉西武ライオンズ対広島東洋カープ戦。

 リーグトップタイの7勝目を挙げた広島の床田寛樹は、ヒーローインタビューの最後、西武ファンが陣取る観客席に向かって言った。

 「西武ファンのみなさん、中村祐太をよろしくお願いします」

 中村は2023年オフの現役ドラフトで広島から西武に移籍した右腕。東京・関東第一高から13年秋のドラフト5位で広島に入団し、10年間過ごした広島を「故郷」と懐かしむ。

 1学年上の床田には何かと面倒を見てもらい、「兄貴」と慕う特別な存在だ。ヒーローインタビューのことを聞き、「『弟が違う職場に行くからよろしく』みたいな感じ。トコさんはそういう人」と笑った。

 2017年、中村は5勝を挙げて広島のリーグ連覇に貢献した。左ひじのトミー・ジョン手術を受けた床田の穴を埋めた。

 当時は登板後、床田からの連絡に励まされた。

 「治ったら、一緒にローテーションに入ろう」

 2人の目標だった。

 移籍前の中村は救援に回っていた。広島では選手層の厚さにはばまれたが、新天地では加入後すぐにリリーフ陣の貴重な戦力となっている。

 中村には今、新たな目標がある。

 「現役ドラフトの価値を上げたい」

 自らが活躍することで、「兄貴」の計らいに応えるつもりだ。(平田瑛美)