「障害者、健常者に関係なく、ガチ(本気)で戦えるバレーがあるんですよ」 最近、取材先からそんな話を聞いた。その名も「ローリングバレー」。ネットの上ではなく、下で勝負するらしい。5月下旬の休日、小平市を拠点に活動する「小平ハリケーンズ」の練…

 「障害者、健常者に関係なく、ガチ(本気)で戦えるバレーがあるんですよ」

 最近、取材先からそんな話を聞いた。その名も「ローリングバレー」。ネットの上ではなく、下で勝負するらしい。5月下旬の休日、小平市を拠点に活動する「小平ハリケーンズ」の練習に参加してみた。

 ルールは簡単だ。

 相手に返球するときは、床から約30センチの高さに設置したネットの下を通す。障害者4人以上を含む6人制で前衛はコートにひざやお尻をつき、後衛は立ってプレーするのが基本。返球は3打以内だが、健常者が触れられるのはこのうち1打だけ――。何より「チームワーク」が大切になりそうだ。

 この日の練習には、多摩地域に住む60~70代の12人が参加していた。目や耳に障害がある人や、車いすの人もいた。

 紅白戦に交ぜてもらった。まずはサーブに挑戦だ。床に置いたボールを片手でたたき、相手コートへ転がす。ボウリングのようなイメージだが、これが案外難しい。力が入ると球が浮き、30センチのネットに引っかかってしまう。

 相手のスパイクは想像の何倍も迫力があった。球が転がってくるというより、地をはってくる感覚。体感速度がすごく、パスにつなげられないこともあった。「自分のとこにスパイクが来るかも」とドキドキしていた。

 ただ、チームにはすぐに溶け込めた。球を転がすため、素人の自分でもパスの失敗が少ないからだ。声やジェスチャーを使って前衛までパスをつなぎ、最後は弱視の女性が鋭いアタックを決める――。いつの間にか、そんな得点パターンが確立していた。

 「コートに立てば障害者とか健常者とか意識しないんですよ。遠慮無く競い合えるのが楽しいし、他にはない魅力です」

 相手コートから何度もスパイクを決めていた、小平市の下村孝さん(73)。試合後、話を聞くまで気づかなかったが、下村さんの両耳は聞こえない。競技の魅力をこう、手話で説明してくれた。25年以上前からチームでプレーしているそうだ。

 チームは今秋の関東大会に向け、月1回のペースで活動中だ。健常者、障害者を問わずメンバーを募集していて、私も定期的に練習に参加予定だ。興味を持った方は津田智子代表(090・6514・9784)へ。(吉村駿)