郡司の活躍には中日ファンも注目しているだろう(C)産経新聞社 新庄剛志監督3年目で、ついに本領を発揮しつつある日本ハム。昨季まで2年連続最下位に沈んだものの、今季は交流戦期間中までAクラスをキープ。本拠地・エスコンフィールドでのCS…

郡司の活躍には中日ファンも注目しているだろう(C)産経新聞社

 新庄剛志監督3年目で、ついに本領を発揮しつつある日本ハム。昨季まで2年連続最下位に沈んだものの、今季は交流戦期間中までAクラスをキープ。本拠地・エスコンフィールドでのCS開催も視野に入りそうな勢いだ。

 生え抜きのチームリーダー松本剛やブレーク中の田宮裕涼、昨季25本塁打の万波中正などタレント揃いの打線の中で、3番打者と4番打者を元中日勢が担う機会が多くなっている。

 郡司裕也とアリエル・マルティネス――。互いに打撃が持ち味の捕手だった2人が、ポジションを変えながら「居場所」を確保している。今回はその中で郡司について綴ってみたい。

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■移籍1年目は自己最多の55試合に出場

 まもなく衝撃のトレードから1年が経つ。

 2023年6月19日。いわゆる「交流戦休み」を迎えた月曜日のお昼、中日と日本ハムの間で交換トレード成立の一報が届いた。中日からは捕手登録の郡司と若手右腕・山本拓実、日本ハムからはその年の開幕捕手だった宇佐見真吾に左腕・齋藤綱記を加えた、「2対2」のトレードである。

 中日は若手のプロスペクト、日本ハムは余剰戦力となりかけていた中堅を差し出した形だ。

 一報を聞いた時、郡司は野球選手として転機を迎えると同時に、飛躍のきっかけをつかんだかもしれないと思った。インサイドワークに長けた一方で、捕手としてはスローイングの弱さが目立つ。待球型の打撃スタイルは4打席立てるスタメンだと実力を発揮しやすいが、代打の1打席が増えると結果を出すのが難しい。木下拓哉が正捕手でいる以上、郡司はチームの中で使いにくい選手となっていた。

 そんな状況でのトレードだったため、新庄監督なら色眼鏡で見ずに柔軟な起用をしてくれるのではないか、と期待感があった。果たして、6月末から1軍に合流した郡司は捕手だけでなく一塁や左翼、指名打者で起用されると、自身最多の55試合に出場。9月には二塁を守るシーンもあった。打撃面では念願の初アーチを含む3本塁打をマーク。第2のプロ野球人生を順調にスタートさせた。

■カメラ直撃弾にもニヤリ

 迎えた2024年シーズンは、指揮官の助言もありキャンプから三塁手のポジション争いに参戦。「1番・三塁」で出場した4月9日のソフトバンク戦(熊本)で複数安打、11日の同カード(北九州)で今季1号アーチを放って以降、ほとんどの試合でスタメン出場を果たしている。出場試合数は早くも昨季の数字に近づき、打撃成績もキャリアハイを更新中。守備位置は昨季と異なり、9割方三塁に落ち着いている。

 ここまでの印象的な一打といえば、本拠地で行われた5月15日の西武戦。第2打席に隅田知一郎の直球をたたくと、打球はライトポール際に飛び込む4号2ランとなった。実はこの打球がブルペンに設置されたカメラを直撃していて、チームメイトからは「あれ30万だぞ」と冷やかされたそう。もっとも本人は「30万でホームラン打てるなら、いくらでも払いますよ。返ってきますから」とニヤリ。直筆の謝罪文とともに該当のカメラを展示したという後日談も面白い。

 6月11日からは古巣・中日がエスコンフィールドに乗り込んでの3連戦が始まる。かつての同僚や首脳陣に対して、郡司はどんなプレーを見せてくれるのか楽しみだ。

[文:尾張はじめ]

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