米ESPNの番組に生出演した井上。そこで披露した持論が小さくない話題となった。(C)Getty Images ボクシングの“本場”に降り立ったモンスターの言葉は、注目の大きさもあってか、やはり話題となった。 世界スーパーバンタム級4…

米ESPNの番組に生出演した井上。そこで披露した持論が小さくない話題となった。(C)Getty Images

 ボクシングの“本場”に降り立ったモンスターの言葉は、注目の大きさもあってか、やはり話題となった。

 世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(大橋)は、現地時間6月8日に米ニューヨークの“聖地”マディソン・スクエア・ガーデンで行われた興行に登場。米興行大手『TOP Rank』と共同で試合中継を担っていた米スポーツ専門局『ESPN』に番組に生出演し、注目されるフェザー転級に対する持論を語った。

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 注目の場でも信念は揺るがない。番組の司会から「あなたをフェザー級の王者たちが待っていますが、フェザー級に上がるチャンスはどれだけあるだろうか?」と問われた井上は「上げるべき時が来たら、そういう案も考えている」とキッパリ。続けざまに「しっかりとフェザー級の身体というものになった時に考えます」と自身が掲げる理想を語った。

 かねてから階級上げについて「『敵がいないから上げろ』ってみんな言いますけど、階級をひとつ上げるのはそう簡単なものじゃない」と明言してきた井上。フェザー転級を真っ向から否定したわけではない。自らが100%のコンディションで挑める環境でなければ試合はしないという不変の考え方を改めて披露した形だ。

 しかし、昨年1月に転級してからわずか2試合で「パワー不足になる」と指摘されたスーパーバンタム級を完全統一した井上。それだけに今回の発言に対しては、思わぬ“いちゃもん”も飛んでいる。先述の発言を「自信がない現れではないか」として報じたのは、米専門メディア『Boxing247』だ。

 同メディアは、昨年12月にマーロン・タパレス(フィリピン)とのスーパーバンタム級4団体統一戦を制した井上が、今も同階級で戦い続ける現状について「明らかに奇妙な動きであり、おそらく彼は、自分にとって極めて危険な階級に上がることに自信がないのだろう」と辛辣な意見を飛ばした。

 スーパーバンタム級で敵なしとなったためか。井上は階級の垣根を越え、対戦要求を突きつけられていた。直近ではフェザー級のWBO4位に君臨するブルース・キャリントン(米国)が「実現できたなら天国のような試合になる」と公言。さらに同級IBF王者のルイス・アルベルト・ロペス(メキシコ)は自身のXで「私はナオヤ・イノウエが126(フェザー級)に昇格するのを静かに待っている」と煽っていた。

 そうした背景もあり、『Boxing247』は「スーパーバンタム級は、タレントが揃っている階級だが、実力者同士の拮抗した対戦を期待するアメリカのファンがイノウエに興味を持つには、質の高い対戦相手が不足している」とも断言。「すぐに階級を上げて、より有能なファイターと試合をすべきだ」とも記した。

 もっとも、井上がこうした“挑発”に乗るとは考えにくい。あくまで「ベスト」を求める彼は今年9月に予定されているV2戦を最優先に考え、フェザー級転向を冷静に見定めていくはずだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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