去就が注目を集める角田。2026年以降はどんなキャリアを歩むのか(C)Getty Images

 F1のザ・キャッシュアップ・RB(以下RB)に所属する角田裕毅が来季もチームに残留することが発表された。

 これにより角田は前名称のアルファタウリ時代を含めて5シーズン連続で在籍する。日本人F1ドライバーで同一チームに最も長く在籍したのは1993~96年の4年間、ティレルに所属した片山右京のケース。残留が決まった角田は、日本人最長記録となる。

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 もっとも、角田にはレッドブルのトップチームへの移籍の期待も高まっていた。だが、セルジオ・ペレスが2026年までの契約延長に合意。その夢は潰えた。そうしたなかで、今季好調を維持する24歳の”今後”の選択に注目が集まっている。

 RB発表の前には、2026年にホンダのパワーユニットを搭載するアストン・マーティンや、ハース、アルピーヌからもオファーがあったとされ、キックザウバーから完全ワークスに切り替わるアウディからも声がかかっていたとの報道もあった。

 そんな彼の今後については「佐藤琢磨型」と「小林可夢偉型」という2つの選択肢が考えられる。

 まず、琢磨は育成時代からホンダのバックアップを受け、ジョーダン、BAR、スーパーアグリと3チームを渡り歩いた。いずれもホンダ製エンジンを積んだチームで、BAR時代の2004年にアメリカGPで3位表彰台に立ち、シリーズランキング8位と躍進した。その後も彼は非ホンダ系チームへ移籍せず、“ホンダ愛”を貫いた。米国に渡ってからはホンダ系チームからインディカーに参戦。伝統のインディ500で2度の優勝を飾り、大成功を収めた。47歳になった今も現役だ。

 一方、可夢偉はトヨタの育成出身で09年にF1に参戦していたトヨタからシーズン終盤にデビュー。しかし、その年でトヨタがF1を撤退。これにより10年からはザウバーに籍を置き、12年の日本GPで3位表彰台を獲得した。

 ただ、13年にシートを失い、フェラーリのAFコルセから世界耐久選手権(WEC)に出場。14年に弱小のケータハムからF1に復帰した後に、ふたたびF1を離れ、古巣トヨタのWECチームに加入。ルマン24時間優勝を成し遂げ、現在はチーム代表も兼務している。

 F1のストーブリーグはタイミングが全て。片山もティレルで好調だった94年にベネトンからオファーがあり、当時のフラビオ・ブリアトーレ代表から「今ここでサインをしろ」と持ち掛けられたが、スポンサーとの兼ね合いで即答できず、ご破算になった。当時のベネトンのエースはミハエル・シューマッハーで、95年に製造者タイトルを獲得。マシンのポテンシャルの高さを鑑みれば日本人初優勝も十分にできる体制だった。

 角田にとってRBは居心地がいいかもしれない。だが、レッドブルと同じホンダ製のパワーユニットで戦いながら今季は全チーム中6位相当の力しかないのも事実。優勝はおろか表彰台を取るのは至難の業だ。一説にはレッドブルに残るペレスにはチーム側が選手のパフォーマンス不足を理由に契約を解消できるオプションが盛り込まれ、角田にもレッドブル昇格の道が残されているとも言われているが、やはり「宝くじ」のようなもの。

 動くか動かざるか。角田はどんな道を歩んでいくのだろうか。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]


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