茨城出身でレスリングの五輪金メダリスト、日本レスリング協会会長でもある富山英明さん(66)の生き様を描くドキュメンタリー映画「夢を喰(くら)う」が、このたび完成した。アスリートのセカンドキャリアに焦点を当てた作品だ。7月から都内で公開され…

 茨城出身でレスリングの五輪金メダリスト、日本レスリング協会会長でもある富山英明さん(66)の生き様を描くドキュメンタリー映画「夢を喰(くら)う」が、このたび完成した。アスリートのセカンドキャリアに焦点を当てた作品だ。7月から都内で公開されるのに先駆けて、6月8日に水戸市内で上映される。

 富山さんは茨城町出身で、土浦日大高を卒業後、日本大学に入学。1978、79年の世界選手権を連覇した。

 80年のモスクワ五輪で代表に選ばれたが、米ソの対立(冷戦)により日本がボイコットしたため出場は幻となった。4年後のロサンゼルス五輪では、フリースタイル57キロ級で金メダルを獲得。その年、現役を引退した。

 映画では富山さん本人が、「色んな選手の終わり方があるけれど、良い形で終わってほしい。終わってからの人生が長いのだから」と語っている。

 自身は母校である日本大学レスリング部や五輪代表のコーチや監督に就くなど、指導者としての人生を歩んできた。

 映画は富山さんが現役を引退した後に記した自叙伝が原案になっている。制作会社「MUGENUP」が、2015年から本人に密着取材し、8年の制作期間を経て完成した。

 後輩を指導する場面や家族とともにいる場面などを捉え、75分にまとめている。企画プロデューサーの西山理彦さんは「五輪の金メダルという夢を叶えた人が、後輩にどのような夢を託そうとしているのか。現役を終えたあとに、どのような人生を送っているかを描いた。作品を観たどんな人も、自分自身の人生を考え直すきっかけになれば」と話している。

 映画は7月6~19日に東京都新宿区の「K's cinema」で上映される。6月8日には午前9時から、全国中学生レスリング選手権大会の会場でもあるアダストリアみとアリーナで先行上映される。入場無料。(富永鈴香)