「史上最速の快挙、おめでとう」。故郷のファンたちから次々に声が飛んだ。大相撲夏場所で初土俵から7場所目で初優勝を果たした石川県津幡町出身の小結・大の里(23)の祝賀会が2日、金沢市内のホテルであった。約550人が集まり、1週間前の興奮その…

 「史上最速の快挙、おめでとう」。故郷のファンたちから次々に声が飛んだ。大相撲夏場所で初土俵から7場所目で初優勝を果たした石川県津幡町出身の小結・大の里(23)の祝賀会が2日、金沢市内のホテルであった。約550人が集まり、1週間前の興奮そのままの熱気に包まれた。

 冒頭であいさつした師匠の二所ノ関親方(元横綱・稀勢の里)は12勝3敗での優勝にふれ、「13勝が優勝ラインだぞと言ってきた。まだまだ上があるという気持ちでやってくれるはず」と力をこめた。「来場所はマークが厳しくなる。その上を行く精神力、けいこ量できたえあげていく」。馳浩知事は「被災者のみなさんも大の里関の取組を楽しみにしていた。県民あげて応援していきましょう」と話した。

 大の里にとって優勝後は初めての帰郷。緊張した表情の大の里はファンにカメラを向けられ、サインを求められるうち、やわらかい表情に。もともとは新入幕を祝う会の予定が能登半島地震で延び、三役昇進を祝う会に変えたが、優勝祝賀会になった。大の里は「ランクが上がってうれしい。たまたま優勝したと思われないように、しっかりけいこをして頑張りたい。多くの方に来ていただき、うれしい」と笑顔で話した。

 新潟県立海洋高校の相撲部監督として大の里を指導した村山智明さん(45)は「自分本位ではなく、下級生をきたえる気配りのできる生徒だった。誰よりもけいこし、誰よりも認められる力士になってほしい」とエールを送った。

 優勝を決めた瞬間に国技館の客席で号泣し、ファンから「父の里」と呼ばれる父・中村知幸さん(48)も会場で握手攻めに。「この1週間、行く先々で『おめでとう』の嵐だった。息子が凱旋(がいせん)してくれて誇らしい」。壇上ではファンのリクエストに応じてハンカチで目を押さえる「号泣ポーズ」も披露した。「息子に『目立つな』と言われているので怒られますね」と笑った。(樫村伸哉)