サッカーJ1のサガン鳥栖が今季なかなか波に乗れない。リーグ戦38試合のうち15試合を終え、4勝9敗2分け(勝ち点14)の暫定17位。5月は連戦が続いたが、25日に予定されていた試合が7月へ変更となり、日程に余裕ができた。チームを立て直し、…

 サッカーJ1のサガン鳥栖が今季なかなか波に乗れない。リーグ戦38試合のうち15試合を終え、4勝9敗2分け(勝ち点14)の暫定17位。5月は連戦が続いたが、25日に予定されていた試合が7月へ変更となり、日程に余裕ができた。チームを立て直し、シーズン中盤からの巻き返しを狙う。

 鳥栖は11日のジュビロ磐田戦、15日の川崎フロンターレ戦と、就任3季目の川井健太監督のもと初めて連勝をマークした。特に川崎戦では21歳のFW横山歩夢選手がJ1初ゴールを含む2得点など計5点を奪い快勝した。川井監督も「気持ちが乗って次の試合に向かえるところがいい。その効果はあると思う」と話していた。

 しかし中2日であった続く名古屋グランパス戦は0―2で完敗。ホームの駅前不動産スタジアムの試合で、名古屋の長谷川健太監督が「ここではそんなに勝った記憶がない。難しいスタジアム」と警戒していたが、鳥栖は退場者が出ていいところなく敗れた。

 横山選手と同じ21歳のブラジル出身のFWマルセロヒアン選手が今季リーグ7得点と、攻めの意識は高く得点を奪う力はある。シーズン序盤の3連敗など、不用意な失点で引き分けに持ち込めず、勝ち点を積み上げられなかったことが、J2降格圏(18位以下)辺りから抜け出せない要因だろう。

 川井監督は「試合ごとに一喜一憂しない。終わった試合に比重をかけることはしない」と言い、調子が上向かなくても次へ向かう姿勢を大切にしている。

 パリ五輪出場権獲得に貢献したU23日本代表のDF木村誠二選手(22)はアジア杯から帰国後、疲れもみせず試合出場を続けた。「(防御の)強度を継続して、次の試合でさらに上の強度を出せるよう、全員の意識付けが必要」と上位進出への課題を話した。

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 サッカーJ1サガン鳥栖のMF藤田直之選手(36)の出番は後半37分、ピッチに入ると左腕にキャプテンマークを巻き、少ない試合時間で精力的に動いた。5月18日の名古屋グランパス戦、ホームでJ1通算350試合出場を迎えた。「自分一人の力では、絶対ここまで来ていない。今までかかわってくれた監督、指導者、チームメートがいたからこそ。もちろん家族も。感謝を再認識して謙虚にやっていきたい」

 福岡県飯塚市出身。東海大五(現東海大福岡)高から福岡大を経て、2010年シーズンからJ2だった鳥栖に入団。J2での55試合を加え、今季初出場となった4月20日の鹿島アントラーズ戦でリーグ通算400試合出場を達成。プロ15年目で次々に訪れる節目の数字を、ベテランはさらなる活力へ変えている。

 鳥栖がJ1に初昇格した12年から4年間主将を務めた。ヴィッセル神戸、セレッソ大阪を経て、7季ぶりに古巣に戻ると川井健太監督のもと、再び主将を任された。鳥栖の生き字引のような存在で、「鳥栖らしさという意味では変わっていないが、前に自分がいたときの方が少しバカできる選手が多かったイメージ。今の若い選手はまじめだが、そういう意味ではおとなしすぎるかな」と見ている。勤勉で労を惜しまないチームカラーは受け継がれているが、いま一歩殻を破れない現状はそんなところにあるのかもしれない。

 自分の立場も変わった。今季はここまで先発出場はない。「僕のキャリアのほとんどは先発から使ってもらっていたので、この2年ぐらい途中出場の難しさを感じる」。先発出場への思いはあるが、1試合の選手交代人数が5人へ広がり、交代メンバーの重要性は増している。「先発がまず全力でやってくれるので、ベンチ入りメンバーはそれ以上のものを出せるようにやらないと。残り15分で試合が決まったりするので、そこで勝ちにもっていけるようにこだわる」

 プロでデビューしたころから通っていた飲食店の味は変わっていなかった。鳥栖に戻ってきて、居心地良く落ち着けると改めて思った。「あまり大きくない県で三つあるスポーツチームが全部、上のカテゴリーというのは、なかなかない。すごく魅力的」。バレーボール女子の久光スプリングスとバスケットボール男子の佐賀バルーナーズとともに盛り上げていければと願う。「今の順位はサポーターを含め誰も望んでいない。もっと上にいけるメンバーだし、早く少しでも上へ」と力を込めた。(森田博志)

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試合日程(Hはホーム、Aはアウェー戦)

5月31日(金) 第17節 F東京(H)

6月12日(水) 天皇杯 高知(H)

6月16日(日) 第18節 福岡(A)

6月22日(土) 第19節 京都(H)

6月26日(水) 第20節 C大阪(A)

6月30日(日) 第21節 柏(H)

7月3日(水) 第16節 横浜M(A)