プロバスケットボールBリーグの広島ドラゴンフライズが28日夜、初めて臨んだCS決勝で琉球ゴールデンキングスを破り、年間王者を勝ち取った。広島市中区のサッカースタジアム「エディオンピースウイング広島」では、大型スクリーンでのパブリックビュー…

 プロバスケットボールBリーグの広島ドラゴンフライズが28日夜、初めて臨んだCS決勝で琉球ゴールデンキングスを破り、年間王者を勝ち取った。広島市中区のサッカースタジアム「エディオンピースウイング広島」では、大型スクリーンでのパブリックビューイング(PV)があり、大勢のブースター(ファン)らが熱い戦いに沸いた。(遠藤花、根本快、上山浩也、大野晴香)

 「勝ちじゃけぇ、勝ちじゃけぇ、勝ちじゃけぇー!」

 初優勝を決めると、カイル・ミリング・ヘッドコーチ(HC)は試合会場に駆けつけたブースターとともに叫んだ。

 試合開始のおよそ1時間前。エディオンピースウイング広島の客席への扉が開くと、チームカラーと同じ朱色のシャツを着たファンが流れ込んだ。午後7時過ぎに試合が始まると、観客はスクリーンに釘付けになった。

 第1クオーター(Q)の開始50秒で、ケリー・ブラックシアー・ジュニア選手がネットを揺らして2点を先制すると、中村拓人選手がシュート2本を決めてたたみかける。広島市西区の公務員、高川敏彦さん(67)は「先制点を取って良い流れで来ている」と興奮気味。第1Qは山崎稜選手の3点シュートなどもあり、5点差のリードをつけた。

 第2Qの開始直後に上沢俊喜選手が3点シュートを決めると、PV会場は色めき立った。ただ、琉球も3点シュートなどを重ね、順調に得点する。呉市の会社員、鶴原健治さん(48)は、ニック・メイヨ選手のフリースローをかたずをのんで見守った。このQでの得点を1点差リードで終えると、「チームに気合が入っていた。積極的にリバウンドを取りに行くなど、強度が高く、いつもと違うドラフラを見せてもらった」と枯れた声で話した。

 琉球の主力選手に連続シュートを決められる展開で始まった第3Q。両チームとも守りをかため、11得点の互角の戦いに。広島市南区の小学4年生、小林俐太(りいた)さん(9)は「ドウェイン・エバンス選手のフリースローが見られてうれしかった」と笑顔だった。

 6点差リードで迎えた第4Q。メイヨ選手が早々に3点シュートを決めると、PV会場は一層の熱気に包まれた。チームはこの10分間で3点シュート2本、2点シュート3本、フリースロー7本を決めて、一気に昨季の年間王者を突き放した。

 東広島市の会社員、高島南海(なみ)さん(31)は「最後までどきどきだったけど、信じていました」と感極まった様子。一緒に訪れた呉市の漫画家、前原文甫(あやな)さん(31)も「広島の強みであるディフェンス力が発揮されていた。来シーズンもまた応援に来たい」とうれしそうに話した。

 試合後、ミリングHCは「就任した3年前、チームは下位だった。それから3年で、CSの優勝にまでたどり着いた。彼らの努力を誇りに思う」と、チームの「下克上」の活躍をたたえた。

 チームは昨季、初めてのチャンピオンシップ(CS)に出場したが、準決勝には進めなかった。そして、設立10シーズン目の今季。西地区3位ながらも、昨年に続きCS出場を果たすと、中地区1位の三遠ネオフェニックスと西地区1位の名古屋ダイヤモンドドルフィンズを下し、初のCS決勝の舞台に上りつめた。(根本快、遠藤花)

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 今季での引退を表明している朝山正悟選手は試合後、「夢のようです。本当に最高でした」と振り返った。「(下位リーグ)B2時代を支えてくださった人たちもいる。いろんなものが積み上がってきた。本当に感謝しかありません」とし、「最後の最後までバスケができたことをうれしく思っています。みなさんの声援が、最高の力になりました」と話した。