(28日、春季北海道高校野球大会決勝 北海3―2クラーク国際) 下級生の好投で決勝まで勝ち進んできた北海は、2点を先行された。「これで負けたら3年生のせいだ。3年生がやらなきゃ」 1点を追う六回、打撃不振だった4番、捕手の大石広那(こうだ…

 (28日、春季北海道高校野球大会決勝 北海3―2クラーク国際)

 下級生の好投で決勝まで勝ち進んできた北海は、2点を先行された。「これで負けたら3年生のせいだ。3年生がやらなきゃ」

 1点を追う六回、打撃不振だった4番、捕手の大石広那(こうだ)(3年)が奮い立った。

 全道大会1回戦から前の打席までの通算成績は11打数2安打。「自分の配球で打たれた小野悠を負け投手にするわけにはいかない」。低めの直球を狙い打つと、その感触から同点ホームランを確信した。公式戦初というアーチを左中間に運んだ。

 決勝の2日前、大石は迷っていた。「打てていない。もう当てにいくだけのバッティングにしようか――」。打撃練習で苦しむ姿に主将の金沢光流が声をかけてくれた。「無理に変えなくていい。自分のスタイルでいけよ」。気持ちが楽になった。

 迎えた終盤、大石は1年秋から正捕手として磨いてきた配球で、2年生左腕の浅水結翔を乗せた。

 1点リードの九回、2死から安打を許すと、すかさずマウンドに駆け寄った。「ここで打たれても俺の責任だから、思い切りやれ」。今大会、下級生の投手陣に投げかけ続けた激励の言葉。落ち着かせるように、胸元をミットでポンと叩くと、浅水は、空振り三振で応えた。

 「去年、春勝って、その後、夏も勝つ難しさを実感した。ここで絶対にゆるさを出さない」と大石。北海は4季連続優勝で、道内公式戦負けなし。チームの攻守の要は、気持ちを引き締め、夏に向けて駆け出す。(鈴木優香)