モナコでの大胆なレース運びで大クラッシュのキッカケとなったマグヌッセン。(C)Getty Images
伝統の舞台で起きた大クラッシュ劇の波紋が広がっている。
物議を醸す論争の発端となったのは、現地時間5月26日に開催されたF1の今季第8戦目となるモナコGPでの騒動だ。
【動画】戦慄のクラッシュシーン…F1モナコGPで起きた衝撃的瞬間をチェック
号令とともに各マシンが一斉にスタートを切った直後だった。直線でハースのケビン・マグヌッセンが左前方にいたセルジオ・ペレス(レッドブル)のマシンに接触。これでペレスのマシンは回転してコースをふさぐ形になり、コース上に停止。ニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)までも巻き込む大クラッシュとなった。
波紋を広げた要因はマグヌッセンの“逆ギレ”とも取れるコメントにもあった。リタイアとなった31歳は、「なんであれが自分のせいになるかは理解ができない。彼は僕を壁に向かって押し込んできたんだ」と主張。ペレスの位置取りがクラッシュを呼び起こしたと訴え、「最悪だ。なぜ僕を壁に押し込む必要があったかは分からない」と断じた。
ただ、年間のペナルティポイントの累積が10となったマグヌッセンは、レース出場停止となる「12」が目前に迫っている状況。それだけに彼の言葉は、やや説得力に欠ける感は否めない。
クラッシュに巻き込まれた同僚ヒュルケンベルグもドイツのスポーツ局『SPORT1』で「怒っている。ケビンには車から降りた時に『何やってんだよ』と言わせてもらった。追い越すには、あの場所は狭すぎるし、速すぎる」と激怒したマグヌッセンのレース運び。これにはF1の重鎮も黙っていない。
レッドブルのアドバイザーを務めているヘルムート・マルコ博士は、ドイツのスポーツ専門放送局『Sky Sport』で国際自動車連盟(FIA)が、今回の一件をレーシングインシデント(レース中のやむを得ない事故)により「処分なし」とした判断を「こんなに早く解決したとは驚きだ」と批判。マグヌッセンを“無罪放免”とした決定に怒りをぶつけた。
「危険があり、深刻な問題だ。そして他方では損害もある。その(大破したマシンの)額は200万(ドル=約3億1400万円)から300万(約4億7100万円)に上るんだよ。それは我々の予算上限に大きな影響を与える」
伝統のレース場で起きた騒動は、その後の判定を含めて議論は尽きそうにない。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
【関連記事】あわや大惨事 F1モナコGPで起きた波乱のクラッシュに当該2選手が大論争「危険だ」「なんで僕のせいなんだ?」
【関連記事】「ツノダは飛躍的に進歩した」好調で日本GPを迎える角田裕毅 元世界王者や海外メディアが高評価「強さを証明している」
【関連記事】「ツノダに改めて脱帽した」鈴鹿で10位入賞の角田裕毅 ”攻めの姿勢”や”素早いピット作業”に欧州からも称賛の声