ボロボロの残骸となったペレスのマシン。この状況が衝撃の大きさを物語る。(C)Getty Images

 スタート直後からクラッシュが相次ぐ波乱の展開に、選手たちからも怒りの声が噴出した。

 現地時間5月26日、F1の今季第8戦目となるモナコGPの決勝が開催された。公道コースのため、通常のサーキットよりも道幅が狭い伝統の舞台ではレース開始早々に“事件”は起きた。

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 合図とともにマシンが殺到するスタート直後、セルジオ・ペレス(レッドブル)がマシンを加速しようとした刹那、右後方からケビン・マグヌッセン(ハース)が強引にマシンをねじ込む。これによって両者のタイヤが接触。ペレスのマシンは回転してコースをふさぐ形になり、コース上に残骸となって停止。両者ともにリタイアに追い込まれ、レースも40分近く中断した。

 あわやの大惨事である。無論、マグヌッセンの強引なトライを受けたペレスは怒り心頭だ。

 米スポーツ専門局『ESPN』によれば、全てのタイヤがもげるほどの衝撃でマシンがボロボロになる惨状を目の当たりにした34歳のメキシコ人はレース内容の審査を行うスチュワードがクラッシュの原因を調査しなかったことに「ダメージの大きさと、クラッシュがどれほど危険なものだったかを考えると、かなり驚きだ」と強調。さらにマシン大破の原因となったライバルを激しく非難した。

「いつか接触が起きるだろうと分かっていながら、全速力のままにしておくのは危険な運転だったと思う。あれは危険な運転だ。あの時、ケビンのマシンは僕に近くもなし、横に並んでもいない。そして壁がどんどん近づいてきているのは映像でも分かる。この状況から抜け出す方法は2つしかない。僕のマシンとぶつかるか、壁とぶつかるか、だ。単に両方のマシンが入るスペースはなかったんだよ」

 一方のマグヌッセンもペレスに対して「明らかにスペースを空けていなかった」と批判。怒りを露わにする理由を続けた。

「こっちのマシンの前輪全体が、彼の後輪より前に出ていた。そして彼の左側には完全にクリアな道があった。なんであれが自分のせいになるかは理解ができない。彼は僕を壁に向かって押し込んできたんだ。一度に両方のマシンがクラッシュするのは良くないよ。最悪だ。なぜ僕を壁に押し込む必要があったかは分からないよ」

 年間のペナルティポイントの累積が10となったマグヌッセンは、レース出場停止となる「12」が目前に迫っている状況。それだけ彼がリスクを冒したレースを展開しているとも言えるが、そのスタッツを見れば、「危険すぎる」というペレスの言い分も理解できる。

 何はともあれ、死者や怪我人を出す大惨事にならなかったのは不幸中の幸いと言えよう。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]


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