来年11月に東京都内を中心に開かれる、聴覚障害のあるアスリートの国際スポーツ大会「デフリンピック」に向け、都が選手を募集している。障害認定を受けていなくても、基準を満たせばトライアウトを経て選手になれる可能性があるという。 募集するのはハ…

 来年11月に東京都内を中心に開かれる、聴覚障害のあるアスリートの国際スポーツ大会「デフリンピック」に向け、都が選手を募集している。障害認定を受けていなくても、基準を満たせばトライアウトを経て選手になれる可能性があるという。

 募集するのはハンドボール、射撃、テコンドー、レスリングの4競技。国内を統括する中央競技団体がないか、態勢不足で選手の発掘や育成が進んでいないためという。

 実技や運動能力テストなどのトライアウトは6月22日に新宿コズミックスポーツセンター(新宿区)、29日に郷土の森総合体育館(府中市)で。例えば、射撃は弾の代わりに光を照射する「ビームライフル」の実践や、テコンドーは蹴りの基本動作や組手の実践、型の模倣など。トライアウトで適性があると判断された場合、競技団体による強化・育成の対象となる。

 参加できるのは、補聴器などを外した状態で聞こえる最も小さな音が55デシベル以上の人▽全日本ろうあ連盟に加盟しているか、加盟する意思がある人▽トライアウトを実施する競技で大会への出場を目指す意思がある人▽日本国籍があり、おおむね15~45歳の人といった各条件を全て満たす人。全日本ろうあ連盟によると、55デシベルという基準は、普通の声での会話が聞こえない程度。

 日本の障害認定では、両耳で70デシベル以上しか聞こえないことが基準の一つになっているが、デフリンピックの出場資格は、国際ろう者スポーツ委員会により、良耳(よく聞こえる方の耳)の平均聴力レベルが55デシベル以上と定められている。

 都の担当者は「障害認定を受けていなくても出場資格がある場合があるため、これを機に全国から隠れた逸材を発掘したい。一人でも多くの日本人選手が出場し、初めて日本で開かれる大会を盛り上げてほしい」と話す。

 トライアウトの申し込みはホームページ(https://www.deaf-tryout24.para-athlete.tokyo/)か郵送で6月17日まで。

 5月24日からは大会運営費用の一部を募るクラウドファンディング(CF)も始まる。目標額は2025年にちなみ、202万5千円。寄付額に応じて、お礼状や大会PR用のボールペンなどの「リターン」が用意されている。期限は7月25日まで。詳しくはCFサイト「CAMPFIRE」内のプロジェクトページに記載されている。(松田果穂)