ドイツ1部昇格を決めたホルシュタイン・キールFW町野修斗が、シーズンを終えてピッチ外でも活躍している。底抜けに明るいだけではなく、まったく違う「もうひとつの顔」が明かされ、改めて人間性の素晴らしさを知らしめている。  その道は、上へとしか…

 ドイツ1部昇格を決めたホルシュタイン・キールFW町野修斗が、シーズンを終えてピッチ外でも活躍している。底抜けに明るいだけではなく、まったく違う「もうひとつの顔」が明かされ、改めて人間性の素晴らしさを知らしめている。

 その道は、上へとしかつながっていないかのようだ。来季にはドイツ1部で戦うことになる、町野のことである。

 高校を卒業して名門の横浜F・マリノスに加入したが、1度も出場機会はなかった。プロ2年目の2019年に当時J3のギラヴァンツ北九州に期限付き移籍し、翌年は完全移籍へと切り替わった。

 だが、着実にステップアップしている。2019年にはJ2昇格に貢献し、2020年のオフには個人昇格。J1の湘南ベルマーレへと完全移籍した。

 J1で戦うようになると、日本代表にも招集された。2022年のカタール・ワールドカップのメンバーに入ることにも成功した。

 カタールW杯では出番がなかったが、そんなことで気落ちなどしなかった。翌2023年には、1試合4得点など19試合で9得点。シーズン途中にドイツ2部のキールへと移籍した。

 成り上がりは止まらなかった。町野を得たキールは、ドイツ2部で優勝を達成。クラブ史上初のブンデスリーガ昇格を果たしたのだ。

 勢いに乗る町野は、シーズンが終わってからもノリノリだ。キールのファンを前にしたセレモニーでは、明るいキャラを全開に、会場の主役になっていた。

 そのノリは日本へも波及。かつてのホーム、レモンガススタジアム平塚の前に湘南ベルマーレでプレーした選手たちのW杯出場を記念したモニュメントが設置されると、古巣へと感謝のメッセージを送った。

 動画の中で町野は、大はしゃぎ。キールのファンが昇格を喜んだ際のチャントを全力で再現していた。

 この動画が湘南のSNSで公開されると、ファンは喜びと笑いをこらえられなかった。

「面白すぎるだろ」
「かわいい」
「パーソナリティ出過ぎなんよw」
「酔っ払いの動画w」
「町野本当に元気出る、だいすき」

■町野のもうひとつの顔

 だが、これだけが町野のすべてではなかった。町野の陽キャ全開動画が公開された翌日、もうひとつの顔が明らかになったのだ。

 町野の人間性が伝わる動画を公開したのは、NPO法人である町野スポーツクラブ。今年元日に起きた能登半島地震で大きな被害を受けた輪島市町野町にある総合型スポーツクラブである。名前が同じことから、「町野修斗選手勝手に応援団」としても活動しているのだという。

 5月19日には、地域の人々が協力して、能登牛などを振る舞う肉フェスを開催したという。同NPO法人がSNSで投稿したのは、その際の光景だ。

 人々が集っている背後で、建物の屋根にはブルーシートが乗せられている。まだ復興の道半ばであることが感じられる会場で、人々が見つめるスクリーンの中に町野がいた。映し出される町野は真顔で、石川県から応援してもらっていることへの感謝を述べていた。

 この投稿は、町野も自身のSNSでリポスト。「町野町の皆さんにまだまだ勇気や感動を与えたいです!」とつづると、「胸熱。 涙が出そうになった」といった反応があった。

 町野スポーツクラブは、「1部昇格でお祝いモードのホルシュタイン・キールの投稿をみているだけでも、笑顔になります」とメッセージを送っている。「パーソナリティ出過ぎ」「本当に元気出る」という湘南ファンの反応は、まさに町野の真の姿を言い当てていた。

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