(22日、プロ野球 阪神タイガース2―1広島東洋カープ) 木刀を携えて球場入りし、外野の芝生でやり型の器具やゴムひもを使って体を動かす。ようやくボールを握ったかと思えば、硬球より大きなソフトボールを投げていた。 阪神の左腕、大竹耕太郎の調…

 (22日、プロ野球 阪神タイガース2―1広島東洋カープ)

 木刀を携えて球場入りし、外野の芝生でやり型の器具やゴムひもを使って体を動かす。ようやくボールを握ったかと思えば、硬球より大きなソフトボールを投げていた。

 阪神の左腕、大竹耕太郎の調整法は一風変わっている。「体の軸や重心、指先を意識したトレーニング。いいなと思ったことは遊び感覚でいろいろ試しています」

 プライベートでも、生け花をしたり、ろくろを回したり。そんな遊び心が、この28歳の投球の原点だ。

 4連勝と好調な広島打線を相手に、のらりくらりと、四回まで1人の走者も許さない。七回に連打で無死一、二塁とされても、動じない。

 右足をゆっくり上げたり、クイックで投げたり。5番末包昇大、6番坂倉将吾は、100キロ台のスローボールで揺さぶり、内野フライに打ち取る。そして代打中村健人。同じ球種でも球速を変え、三邪飛に退けた。

 大竹にはこんな持論がある。「100球投げるなら、すべて違う投げ方で抑えたい」。一般的に、投手は同じ腕の振りで狙ったコースに投げる。その再現性を高めるために練習を積むものだ。

 だが、この左腕は首を横に振る。「打者は同じタイミングで同じ球が来るとなれば、空振りした球を待っていれば次は打てるのでは、となると思うんです」

 7回無失点。負ければ首位を譲る一戦で、昨季から6連勝中だった広島キラーが立ちふさがった。「狙いどおりいけました」。変幻自在の94球。自分らしさを詰め込んだ。(山口裕起)

 大山(神) 一回に左前適時打を放ち、プロ8年目で通算500打点。「浮いた球をしっかり仕留められた。明日以降も勝利に貢献する打撃をしたい」

 岡田監督(神) 「大竹はコントロールがよかった。七回(無死一、二塁)はよう踏ん張った。打線も1番が出て4番が打点を挙げる展開になれば勝てる」