マクドナルド杯出場…富山・比美乃江稲積JBOYSのハンデをチャンスにする工夫 運動の機会減少もグラウンドを使えない冬の期間も、前向きに捉えている。全国大会の出場経験もある富山県の少年野球チーム「比美乃江稲積(ひみのえいなづみ)JBOYS」で…

マクドナルド杯出場…富山・比美乃江稲積JBOYSのハンデをチャンスにする工夫

 運動の機会減少もグラウンドを使えない冬の期間も、前向きに捉えている。全国大会の出場経験もある富山県の少年野球チーム「比美乃江稲積(ひみのえいなづみ)JBOYS」では、遊具やテニスボールを使ったメニューで運動能力や基本的な技術を高めている。Full-Countでは、全国の気になる学童チームの“選手を育てる秘訣”に着目。バランス感覚や筋力の強化、投げ方のポイントを重視した練習で、勝利と育成の両立を目指す方針について聞いた。

 比美乃江稲積JBOYSは昨年、高円宮賜杯全日本学童軟式野球大会マクドナルド・トーナメントに出場した。2020年も、新型コロナウイルス感染拡大の影響で大会は中止となったが、富山県大会を制している。

 チームを率いる東軒宏彰監督が重点を置くのは、運動能力を向上させる練習。神経系が伸びる“ゴールデンエイジ”と呼ばれる小学生年代は動きのバリエーションを増やし、将来への土台をつくる大切な時期となる。グラウンドにあるタイヤやうんていなどを活用。例えば、タイヤは20個ほどが2列に並んでいるため、全てを渡り切る競争を楽しみながら、バランス感覚を養う。東軒監督が狙いを説明する。

「最初から20個のタイヤを渡るのは難しいので、個々に目標を立てて自分の成長を感じることもできます。遊具を使ったメニューは俊敏性、体幹、腕力など、様々な要素が鍛えられますし、脳の活性化にもなります。運動能力や体力を高めてから、技術や戦術を覚えていく形にしています」

 少年野球チームを率いて18年目となる東軒監督は、選手の運動能力が全体的に落ちていると感じている。投球や打球のスピード、中でも守備範囲に象徴されるように脚力の低下が目立つという。

キャッチボールは動きを分解…反復ドリルで習得

 基本的な技術を身に付ける上で大切にしているのがキャッチボール。投げる動きを分解し、「手首だけを使う」「肘を使う」「左右の体重移動」「前後の体重移動」「ステップしながら体重移動」というようにドリルを繰り返す。肩や肘の怪我を予防し、持っている力を球に伝えるために体全体を使う投げ方を覚えていく。

 雪でグラウンドが使えなくなる12月から2月の期間も、チームの軸は変わらない。肩や肘への負担を考慮し、軟式ボールの代わりにテニスボールを使って、キャッチボールドリルや守備・打撃練習をする。東軒監督は「テニスボールは軽いので、腕を速く振るトレーニングや速い球を投げるフォームが身に付きます」と話す。テニスボールを使った打撃練習は速い球への対応力が上がり、グラウンドよりも狭い室内でのノックは俊敏性向上につながるという。

 運動能力や体力強化には、ラダーや縄跳びなどを活用している。「冬はグラウンドを使えず、レベルの差を感じたこともありましたが、冬場の練習内容を工夫して全国でも通用するチーム力になりました。取り組みは間違えていないと実感しています」と東軒監督。比美乃江稲積JBOYSは6月3日から開催される「少年野球フェスティバル」に参加予定。野球用具を使った練習だけが、上達の方法ではない。(間淳 / Jun Aida)