(18日、春季東海地区高校野球大会1回戦 享栄7―9菰野) 応援席では鹿児島から岐阜まで車でかけつけた母と父、祖父母の4人が見守っていた。 三回表1死三塁、享栄の3人目の投手としてマウンドに立ったのは、「背番号10」の浜上琉碧(るい)投手(…

(18日、春季東海地区高校野球大会1回戦 享栄7―9菰野)

 応援席では鹿児島から岐阜まで車でかけつけた母と父、祖父母の4人が見守っていた。

 三回表1死三塁、享栄の3人目の投手としてマウンドに立ったのは、「背番号10」の浜上琉碧(るい)投手(3年)だった。

 この回、先発と2番手の投手がすでに5点を取られていた。悪い流れを断ち切って、4打者1失点にとどめた。

 浜上投手は鹿児島県薩摩川内市出身。中学3年のとき、享栄への進学を希望した。大藤敏行監督は「(名前が同じ)春日部共栄じゃないのか」と伝えたほどだが、決意は揺るがなかった。享栄の卒業生でプロ野球選手の竹山日向、東松快征など「本気でプロを目指す人がいる環境で野球をしたい」と思った。

 母のゆかりさん(47)は、「とにかく優しい子」と話す。

 今春の県大会で復帰した浜上投手。昨冬、右肩をけがした。正月になって実家に帰省した際は、けがを家族にも言っていなかった。愛知に戻り、「通院のためのお金がかかる」と母に報告したとき、家族は初めて知った。

 「優しい子」も小学生の頃からマウンドに立つと人が変わった。コスチュームを着て変身する「戦隊ものみたい」とゆかりさんは笑う。

 この日の四回表、連打を浴びた後、2三振と内野フライで無失点に抑えた。七回にエースの小山隼和投手(2年)にマウンドを譲るまで、要所を締め、五、六回の反撃の流れも作った。

 チームは2点差で敗れた。夏に向けた浜上投手の課題は、先頭打者への四球という。「わざわざ愛知に来た。夏は小山からエースナンバーを取る」(渡辺杏果)