バスケットボールコートをリニューアルして復興のシンボルに――。そんなプロジェクトが石川県内灘町で始まっている。夏には、完成したコートでプロ選手らも参加するイベントを開き、子どもや若者らにバスケの楽しさと元気を届けたいという。 能登半島地震…

 バスケットボールコートをリニューアルして復興のシンボルに――。そんなプロジェクトが石川県内灘町で始まっている。夏には、完成したコートでプロ選手らも参加するイベントを開き、子どもや若者らにバスケの楽しさと元気を届けたいという。

 能登半島地震で大規模な液状化が発生し、今も一部の地区で道路が波打ち、家々が傾いている内灘町。コートがあるのは、日本海を見晴らす町の総合公園だ。

 プロジェクトを立ち上げたのは、公園やストリートからバスケの楽しさを広める活動をしている一般社団法人「ピックアッププレイグラウンド」(東京)。全国80カ所以上でバスケの大会を開き、試合後にはコート周りのゴミ拾いをしてコミュニティーづくりに取り組んできた。2022年にはストリートバスケの「聖地」とされながら老朽化していた代々木公園のコートのリノベーションも果たした。

 人気マンガ「スラムダンク」の作者、井上雄彦さんも活動の趣旨に賛同。主人公の桜木花道を描き下ろしたTシャツなどのグッズ販売の収益も活動費になっている。

 今回は、バスケコートなどの施工を手がける長谷川体育施設(東京)と47都道府県に屋外コートを整備するプロジェクトの第1弾。能登への入り口に位置する内灘町を選んだ。

 被災地では大きな公園や広場に応急仮設住宅が建設されるなど、バスケをすること自体が難しい状況となっている。同法人の秋葉直之代表理事は「行政の対応は緊急性の高いものが優先され、スポーツまで手が回りにくい。子どもや若者のために官民連携で誰でもいつでもバスケットボールができる場をつくりたい」と話す。

 一新するコートは、石川らしい石畳や紅殻(べんがら)格子をモチーフに、日本海の「青」と金箔(きんぱく)の「ゴールド」、鼓門やバスケットボールをイメージした「オレンジ」を配色した。6月に完成し、夏にはバスケのBリーグやWリーグの選手らが集結。子どもや若者とふれあうサマーキャンプも開催する予定だ。

 秋葉さんは「バスケを通じ、子どもや若者に笑顔や活力を取り戻してもらいたい。大好きなバスケをプレーし続けてもらえたらいい」と願いを語る。より多くの人の思いを集めて人と人とがつながるきっかけになればと、クラウドファンディング(https://readyfor.jp/projects/pickupplayground2024)も呼びかけ、法人の自主財源とあわせてコートづくりに活用する。(久保智祥)