この春、滋賀県内の大学で初めて、女子の硬式野球部がびわこ成蹊スポーツ大学(大津市)に誕生した。選手たちは、高知県で16日に開幕する第10回全日本大学女子硬式野球選手権大会に出場する。 県内の高校では今春、大津市にある滋賀短期大学付属と北大…

 この春、滋賀県内の大学で初めて、女子の硬式野球部がびわこ成蹊スポーツ大学(大津市)に誕生した。選手たちは、高知県で16日に開幕する第10回全日本大学女子硬式野球選手権大会に出場する。

 県内の高校では今春、大津市にある滋賀短期大学付属と北大津の2校が、女子硬式野球部をつくった。全国的に高校の女子硬式野球部は増えている。

 びわこ成蹊スポーツ大学には、高校でプレーした女子選手の受け皿になりたい、という思いがある。全日本大学女子硬式野球連盟によると、大学でも全国的に増えており、5月1日現在、びわこ成蹊スポーツを含む16大学が連盟に加わっている。

 びわこ成蹊スポーツ大学では昨年1月、女子硬式野球部創部に向けた同好会を立ち上げ、活動を本格化。今年4月、1年生9人が加わって部員が15人となり、単独のチームで試合ができるようになった。

 同好会のころから中心にいたのが、3年生の二塁手・竹内すず主将(20)。小学1年生から野球を始め、京都両洋高校の女子硬式野球部でプレーした。

 母親に勧められてびわこ成蹊スポーツ大学に進学した。「卒業までに女子硬式野球部をつくる」。そんな強い意志を持っていた。ソフトボール部に入り、“そのとき”が来るのを待った。

 そんな竹内主将に声をかけたのが、副学長の石井智監督(63)だった。びわこ成蹊スポーツ大学の男子硬式野球部などで監督を務めた経験があった。「高校でプレーした女子選手の受け皿になりたい」「親も子も男性も女性も野球ができる環境をつくりたい」と思っていた。

 同好会の発足から1年あまりでの創部に、竹内主将は「こんなに早くできるとは思っていなかった。夢のようです」と話す。チームメートと硬式野球ができることが幸せだといい、「これが当たり前になるように、次の世代のために環境をつくりたい」。

 1年生の投手・中澤歩美選手(19)も、創部を喜んだ一人だ。彦根市出身だが、中学卒業時に県内に女子硬式野球部がある高校がなく、福井市の福井工業大学付属福井高校に進んだ。びわこ成蹊スポーツ大学で創部されていなければ、県外の大学に進学するか野球をやめていたといい、「滋賀県で野球ができて、めっちゃ楽しい」と話す。

 日々の練習は、授業の合間に集まって行う。グラウンドは男子の野球部と同じで、譲り合って使っている。「勉強もちゃんとやってもらっている。野球を通じて成長し、社会に貢献できる人材を育てたい」と石井監督。

 全日本大学女子硬式野球選手権大会には15校が参加する。びわこ成蹊スポーツ大学は16日午前11時から、高知市東部野球場で桃山学院教育大学(大阪府)との初戦に臨む。竹内主将は「全国優勝したい」。初出場だが、目標は大きい。(仲程雄平)