神奈川県茅ケ崎市のパラスイマー・田中映伍(えいご)さん(19)が、今夏のパリ・パラリンピックの出場権を獲得し、同市のスポーツアンバサダーに就任した。3月に静岡県で行われた選考レースで派遣標準記録を突破。50メートル背泳ぎなど、4種目に出場…
神奈川県茅ケ崎市のパラスイマー・田中映伍(えいご)さん(19)が、今夏のパリ・パラリンピックの出場権を獲得し、同市のスポーツアンバサダーに就任した。3月に静岡県で行われた選考レースで派遣標準記録を突破。50メートル背泳ぎなど、4種目に出場の可能性があるという。
小学生のとき、テレビで見たリオ・パラリンピックで、自分と同じ両腕がない中村智太郎選手の泳ぎがかっこよく、パラ水泳を志したという田中さん。「自分が楽しみ、それがまた誰かの挑戦につながればうれしい」と話した。
田中さんは生まれつき両上肢欠損の障害があったが、「とにかくやんちゃ」(父親の一郎さん)で、3歳上の兄がやることには何にでも挑戦。4歳で始めた水泳のほか、サッカー、サーフィン、スキーなどに親しみ、中学から本格的にパラ水泳に絞って練習を始めた。
高校生になり、地元のスポーツクラブで指導を受けるようになって頭角を現し、2021年のアジアユース大会の50メートルバタフライで1位を獲得。昨春、東洋大に進学後は、英国であった世界選手権で日本新記録を出すなどし、現在はナショナルトレーニングセンターで研鑽(けんさん)を積んでいる。
強みは柔らかい足首による「前半のキックのピッチの速さ」。一方で後半のスタミナ不足が課題だったが、現在、腹筋や背筋のトレーニングを強化し、手応えを感じている、という。
「これまでの足だよりから脱却し、上半身全体を使ったキックを見てもらいたい」と田中さん。
「あきらめずに努力を続ければ必ず成功するとは言えない。でも、何も残らないわけじゃない。精いっぱい頑張るので応援よろしくお願いします」とはにかんだ。(足立朋子)