本塁打を確信し、ゆっくりと一塁へ歩き出した。 0―0の三回1死一塁、ドジャースの大谷翔平は、2球目の甘いスライダーを引っ張った。右中間のスタンドへ放り込む、今季5号となる先制2ラン。文句なしの一発に、客席から割れんばかりの歓声を浴びた。 …

 本塁打を確信し、ゆっくりと一塁へ歩き出した。

 0―0の三回1死一塁、ドジャースの大谷翔平は、2球目の甘いスライダーを引っ張った。右中間のスタンドへ放り込む、今季5号となる先制2ラン。文句なしの一発に、客席から割れんばかりの歓声を浴びた。

 これで2018年の大リーグ1年目から積み上げた本塁打数は176本となり、日本選手の大リーグ通算最多記録を更新した。「個人的には特別な1本。素直にうれしい」

 開幕9戦目でシーズン1号を放つとペースが上がり、16戦目となるパドレス戦(12日)では4号に到達した。だが、そこから打球の角度が上がらなくなり、前日まで7試合は安打こそ出るもののアーチは架からなかった。

 「前回のホームランから(時間が)かかってはいるので早くしたいなと思いつつ、きょう打てたので安心と喜びがあるかと思います」と大谷。「次の1本を打ちたい」と語った前日から一転、表情は晴れていた。

 「これからシーズンはどんどん続いていく。切り替えて、次に臨みたいと思います」。浮かれず、すぐに次を見据える。これが偉業を果たし、記録を更新し続ける29歳の歩き方なのだろう。(ロサンゼルス=高橋健人)