アロンソの契約延長によって、フェルスタッペンの加入は薄くなったか(C)Getty Images

 F1のアストンマーティンは4月11日、元王者のフェルナンド・アロンソとの契約を延長し、来季以降も残留すると発表した。マイク・クラック・チーム代表は複数年契約で、ホンダのパワーユニットを搭載して参戦する2026年も契約があることを明かし、アロンソも「ホンダと再び一緒に仕事をすることになった。本当にうれしい」とコメントした。

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 ただ、アロンソがホンダと再タッグを組むことを歓迎しない空気もある。ホンダがマクラーレンと組んでF1に復帰したのが2015年。その時にチームのエースドライバーだったが、パワーユニットが信頼性のトラブルなどもたたって他のライバルに太刀打ちできず、日本GPの走行中にチーム無線で「GP2、GP2」と揶揄した。

 GP2とは現在のF2選手権。ホンダのパワーユニットをまるで格下シリーズのエンジンのようにけなし、わずか3年でマクラーレンから三行半を突きつけられて提携を解消する遠因となったともいわれている。

 その後、ホンダはレッドブルの兄弟チーム、トロロッソ(現RB)と新たに提携し、19年からレッドブルにも供給を開始。21年にマックス・フェルスタッペンを初のチャンピオンに導いた。現在は登録上は「ホンダRBPT」のパワーユニット名ながらライバルを圧倒。昨季も負け22戦して1戦だけだった。

 アロンソは2005、06年とルノーでチャンピオンに輝き、実力は申し分ないが、2015年の失言にアレルギー反応を示すファンもいるようで、SNSでも「またGP2エンジンのマシンで走れるよ!?」「今度は褒めてくれるかね?」と白眼視されている。ただ、当時のパワーユニットは開発途上で圧倒的に力が劣っており、同情を禁じ得ない部分はある。

 アロンソの残留でマックス・フェルスタッペンの加入の線が薄くなったことも歓迎されない理由の一つかもしれない。フェルスタッペンは2022年にレッドブルとの契約を延長し、28年まで残留することを決断したが、ホンダとの提携は25年まで。フォードの協力を得て自社開発を進める新パワーユニットの実力は未知数のため、契約を途中で破棄してアストンマーティンなど他チームへの移籍も画策しているといわれてきた。

 しかし、アロンソが残留したことで少なくとも26年にアストンマーティンの一員となる可能性は低い。ホンダ側の意向で角田裕毅を26年にアストンマーティンに移籍させるのでは、ともいわれているが、チームの共同オーナーを父に持つランス・ストロールも残留を目指しており、今後の人選が複雑化しつつあるのは確かだ。

 2026年にパワーユニットが新規定に変わり、ホンダもワークス復帰初年度から確実に活躍できる保証はない。アロンソが再び過激な発言をしないことを願うばかりだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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