(11日、プロ野球 読売ジャイアンツ5―0東京ヤクルトスワローズ) 高めに浮いた球を、振り抜いた。 六回2死二塁。巨人の小林誠司が、無失点でしのいでいたヤクルトの高橋奎二をとらえる。打球は左前へ。決勝の適時打を放ち、右拳を突き上げた。「(…

 (11日、プロ野球 読売ジャイアンツ5―0東京ヤクルトスワローズ)

 高めに浮いた球を、振り抜いた。

 六回2死二塁。巨人の小林誠司が、無失点でしのいでいたヤクルトの高橋奎二をとらえる。打球は左前へ。決勝の適時打を放ち、右拳を突き上げた。「(菅野)智之が頑張っているので、何とかしたかったので泥臭くいった。必死に」。ベンチ前で菅野は両手をたたいた。

 派手に喜んだのも無理はない。今季初安打。さらには、2年ぶりの打点だったからだ。

 レギュラーを張った時期もある強肩捕手は、この数年は極度の打撃不振に苦しんだ。プロ10年目の昨季は出場21試合で、たった1安打だった。

 今季のキャンプも2軍スタート。ただ、現役時代は同じポジションだった阿部慎之助監督は、ひそかに期待していた。「どんな立場でいようと、腐らず練習はたくさんする男なので」。昨季は打率1割2分5厘だった34歳が、オープン戦で打率2割7分3厘を残して1軍に返り咲いた。

 正捕手は、長打力のある大城卓三で揺らぐことはない。小林がマスクをかぶる機会は現状、長らくコンビを組んだ菅野が先発登板する試合に限られている。

 この夜は同い年の右腕を引っ張り、6回無失点に導いた。菅野は「ずっと(小林)誠司に任せておけば大丈夫な気がする」と感謝した。

 このチームの弱点は、捕手の選手層が薄いこと。小林が打撃好調を続ければ、不安材料は一つ取り除かれる。(堤之剛)

 菅野(巨) 6回被安打3、無失点。「細かいコントロールがまだまだだった。次の試合はしっかり投げ切れるようにまた調整していく」

 阿部監督(巨) 菅野と小林のバッテリーは「安心感がある」。小林の「何とかしようという姿」を評価した。