平成の大相撲ブームは3代目若乃花、貴乃花の兄弟横綱が軸だったが、2人の前に立ちふさがり、土俵を熱く盛り上げたのが、外国出身初の横綱である曙だ。彼の強さ、角界の頂点での立ち居振る舞いは、好角家をもうならせた。 ハワイから来日して初土俵を踏ん…

 平成の大相撲ブームは3代目若乃花、貴乃花の兄弟横綱が軸だったが、2人の前に立ちふさがり、土俵を熱く盛り上げたのが、外国出身初の横綱である曙だ。彼の強さ、角界の頂点での立ち居振る舞いは、好角家をもうならせた。

 ハワイから来日して初土俵を踏んだ1988年春場所の同期生に、若・貴がいた。当時から人気大関貴ノ花の2世としてマスコミから脚光を浴びていた2人の存在は、外国出身の曙にとっては驚きとともに、奮起を促す材料だった。

 新十両、新入幕、初優勝は貴乃花(当時の貴花田)に後れをとった。しかし、初三賞、新三役、大関、横綱はいずれも先んじた。

 特に横綱昇進は、長く君臨した千代の富士に続いて大乃国、旭富士、残った北勝海までが引退した横綱不在を埋める形で、連続優勝した93年初場所後に達成した。同時に大関へ昇進したのが貴乃花(当時貴ノ花)だ。「曙貴時代」と呼ばれた時代の始まりだった。