元ラグビー日本代表の主将として活躍した広瀬俊朗さんが新年度、鳥取県立倉吉東高校で特別授業をすることになった。同校のラグビー部のチーム作りを支援する広瀬さんの姿を生徒たちに見てもらい、リーダーシップについて考えてもらう狙いだ。 広瀬さんが講…

 元ラグビー日本代表の主将として活躍した広瀬俊朗さんが新年度、鳥取県立倉吉東高校で特別授業をすることになった。同校のラグビー部のチーム作りを支援する広瀬さんの姿を生徒たちに見てもらい、リーダーシップについて考えてもらう狙いだ。

 広瀬さんが講師を務めるのは、2年生対象の「探究学習」の時間。ラグビー部の新年度1年間の活動を題材に、組織のマネジメントのあり方を生徒たちに指南する。

 授業は5月ごろに「キックオフ」する計画だ。ラグビー部ではまず、入ったばかりの1年生をなじませ、新チームを作り上げていく。その過程で、広瀬さんが部にアドバイスをする。

 次の大きなイベントは、冬に開かれる全国高校ラグビー大会だ。部は、受験を控える3年生に代わって運営を担う2年生を中心に、大会出場に向けた目標を立てて実行に移す。その中で課題を見つけ、広瀬さんの指導を受けながら修正を繰り返すサイクルをどう構築するかがポイントとなる。

 授業に参加する生徒たちには、広瀬さんとラグビー部のかかわり方を観察してもらう。その中で、組織としての意思決定の仕方や、その結果をメンバーに正しく伝えていくスキルを身につけてもらうことをめざす。広瀬さんには、4回程度同校に来てもらう予定だ。

 特別授業のきっかけは、同校が2022年「国際バカロレア」の認定校になったこと。英国を中心に世界的に大学への入学資格として認められるバカロレアが重視するのは、正解が一つではない問いに対してどう向き合うか、思考の枠組みを習得させることだ。このため倉吉東高は、探究学習の指導方法を刷新する検討に入った。

 偶然にも同じ時期、学校がある鳥取県倉吉市が、地域活性化人材の育成を目的に小田急電鉄(東京)と包括連携。政府のデジタル田園都市国家構想推進交付金を活用し、世界を相手にリーダー経験のある著名人の招請を計画した。その関係者で倉吉東高の卒業生が、同校での探究学習強化の方針を知り、特別授業を広瀬さんの協力で実施する方向になったという。

 同校ラグビー部顧問で、特別授業を担当する岩野竜二主幹教諭は「世界でキャリアを極めた広瀬さんの力を借りて、失敗を恐れない生徒を育てたい。と同時に、私たち教師や地域の大人も、広瀬さんのチャレンジしている姿に触れることで、積み上げてきたやり方にこだわらず、新しいスキルを取り込む大切さを学ぶきっかけにできるのでは」と期待する。(吉田博紀)