数多いる馬主の中でも勢いは現在トップクラスだ。フォーエバーヤングでサウジダービー、UAEダービーを連勝、持ち馬が桜花賞、皐月賞にもそれぞれ登録のある藤田晋オーナーのことである。  約3年前、馬主になることが明らかになった当初は、「ウマ娘…

 数多いる馬主の中でも勢いは現在トップクラスだ。フォーエバーヤングでサウジダービー、UAEダービーを連勝、持ち馬が桜花賞、皐月賞にもそれぞれ登録のある藤田晋オーナーのことである。

 約3年前、馬主になることが明らかになった当初は、「ウマ娘」で知られる(株)サイバーエージェントの代表取締役社長として注目を集めたが、今では国内外で活躍する所有馬の方がトピックとなっている。そんな新進気鋭オーナーが初の重賞タイトルを獲得したのが22年のニュージーランドT。武豊騎手騎乗のジャングロが勝った一戦を振り返りたい。

 21年夏に馬主デビューした藤田オーナー。最初の世代となる2歳馬は続々と勝ち上がったが、中でも中心的な存在となったのがジャングロだった。21年のOBSマーチセールで森秀行調教師が見出し、26万5000ドルで手に入れたMore Than Ready産駒だ。

 夏の小倉でデビューし、初勝利には4戦を要したが、コンスタントに使われることで力を付けていった。中京2歳Sを2歳レコードで逃げ切り、オープン初勝利を挙げると、続くマーガレットSも快勝。そして迎えたのがニュージーランドTだった。

 唯一のマイル経験であるベゴニア賞で6着に敗れていたこと、さらには重賞初挑戦だったことが影響したのか、3番人気に留まったが、レースでは最初から最後まで主役を譲らなかった。好発を決めてスッとハナへ。前半3F34秒7、5F58秒8の平均ペースでリズム良く運び、直線に向くと再加速。ゴール前で1番人気のマテンロウオリオンが迫ってきたが、頭差凌いでゴール。多くのファンを「さすが武豊!」と唸らせる、鮮やかな逃げ切りだった。

 その後はケガによる長期休養もあり、4戦未勝利のジャングロ。活躍を続ける後輩に負けじと、今年こそは復活してくれることを期待したい。