拓殖大商学部(東京都文京区)教授の松橋崇史さん(42)は、「地域貢献」「育成世代の底上げ」「学生による企画・運営」の3本柱を掲げ、ふるさとの茨城で大学や高校などによる野球の交流戦「スプリングフレッシュリーグ」を初開催した。スポーツマネジメ…

 拓殖大商学部(東京都文京区)教授の松橋崇史さん(42)は、「地域貢献」「育成世代の底上げ」「学生による企画・運営」の3本柱を掲げ、ふるさとの茨城で大学や高校などによる野球の交流戦「スプリングフレッシュリーグ」を初開催した。スポーツマネジメントの研究で得た知見を実践し、スポーツを通じた地域活性化に取り組む。

 茨城県牛久市出身で、小学3年から野球を始めた。竜ケ崎一高では1年夏からベンチ入り。180センチを超える長身をいかした本格派投手として期待されたが、2年に進級直前の練習試合で右ひざ半月板損傷の大けがをした。1年間のリハビリを経て、ひざへの負担が小さい一塁手として復帰し、3年夏は中軸として活躍。甲子園出場は逃したが、茨城大会ベスト4に入った。

 慶応大総合政策学部に進学して野球を続け、大学の教員をしていた父の影響もあって2004年に同大学院に進んだ。プロ野球・近鉄バファローズ(当時)が消滅するなど球界の経営危機が表面化していた時代。「野球に限らず、スポーツの発展には地域活性化が欠かせない」との問題意識を持ち、スポーツ政策やマネジメントの研究に励んだ。

 12年に政策・メディア研究科の博士課程を修了。それまでの研究を形にできないかと考えたのが、学生野球の交流戦だった。

 新潟県三条市にある市民球場の指定管理会社から「地域活性化につなげたい」と打診を受け、15年夏に同球場で大会を開催。前例のない取り組みだったが、「公式戦の出場機会に恵まれない下級生が実戦経験を積める」「地元の子どもたちとふれあい、人間的にも成長できる」といった理由で参加校も年々増えた。18年秋からは静岡市でも大会を始めた。

 参加する大学の学生らに企画・運営を担ってもらうのも大きな特徴だ。子ども向けの野球教室や大学グッズの販売、SNSでの情報発信などにも力を入れる。

 新潟、静岡での大会に企画・運営として関わった筑波大の学生が中心となって初開催された茨城での交流戦。大学や高校だけでなく、プロ野球BCリーグの茨城アストロプラネッツも加わり、3月22~24日の3日間で18チームが計22試合の熱戦を繰り広げた。松橋さんは「学生たちのチームワークで無事に終えることができた。地元・牛久のリトルリーグで指導した時の子が高校生になり、試合に出ているのを見た時はうれしかった」と振り返る。

 県の協力で、県央から県南まで幅広い地域で交流戦ができ、多くの企業・団体から支援を得られたことも、来年以降の盛り上がりにつながると感じている。「今回の交流戦は地域貢献に向けた第一歩。継続していくことで、子どもから大人までがつながりを持ち、地域に根づいた大会にしていきたい」(原田悠自)