バレーボールのVリーグ1部(V1)は3月31日、男子のプレーオフ決勝が東京・有明コロシアムであり、レギュラーラウンド2位のサントリーが、同1位のパナソニックを3―0のストレートで破り、2季ぶり10度目の優勝を果たした。パナソニックは5季ぶ…

 バレーボールのVリーグ1部(V1)は3月31日、男子のプレーオフ決勝が東京・有明コロシアムであり、レギュラーラウンド2位のサントリーが、同1位のパナソニックを3―0のストレートで破り、2季ぶり10度目の優勝を果たした。パナソニックは5季ぶりの制覇はならなかった。最高殊勲選手賞には、サントリーの大宅(おおや)真樹が2季ぶりに選ばれた。

 現行のVリーグは今季が最後で、再編成された「SVリーグ」が今秋からスタートする。

■「誇らしい」 サントリーが有終の美

 身長218センチの絶対的エースに頼らないチームになれるか。昨季、準優勝に終わったサントリーの課題はそこにあった。

 2012年ロンドン五輪でロシア代表として金メダルを獲得したムセルスキーは、2季前までの2連覇を支えた立役者だった。「どうせムセルスキーが打つだろうと助走をさぼる選手がいた」。主将でセッターの大宅は昨季をそう振り返る。

 だから、今季は勝負どころであえて、別の選手にトスを上げる選択もした。自分にも球が来る可能性はある、という意識をチームメートに植え付けるのが狙いだった。

 真価は第2セットに表れた。30点台までもつれにもつれると、相手は日本代表で強打が武器の西田に球を集めた。一方で大宅は速攻にバックアタックとトスを散らした。「要所で他の選手を印象づけることができた」。最後は西田のミスを誘ってセットを連取し、勝利への道筋を作った。

 昨年12月の世界クラブ選手権で日本勢初の3位になった。自信に結束力も加わったのは、その後だった。リーグ戦でパナソニックにストレート負け。山村監督が激怒したのは結果ではなかった。「負けるのは良いがベストを尽くしていない」。そして呼びかけた。「初心に戻ろう」、と。

 秋からは、世界最高峰をめざす新リーグが始まる。山村監督は言った。「新しい幕開けの前に勝ちきることができて、本当に誇らしい」(加藤秀彬)