フォーミュラEの東京大会の成功は、モータースポーツ界にとって大きな意味を持ちそうだ(C)Getty Images

 電気自動車で争うフォーミュラE世界選手権が3月30日、日本で初開催され、公道を一部利用した特設サーキットが設けられた東京都江東区の東京ビッグサイト周辺には約2万人の観衆が詰め掛けた。レーシングカーによる本格的な公道レースは日本では初だったが、一般道の交通規制区間も一部区間に限られ、大きな混乱もなく大会を終えられた。

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 決勝前に行われたスタートセレモニーでは岸田文雄首相が黒の公用車でホームスレートまで乗り付けて登場するサプライズがあり、「二酸化炭素の出ない、エンジン音の出ないフォーミュラEだからこそ、東京での開催が実現しました。公道での国際レースです。東京の街を、未来が、そして夢が、猛スピードで駆け抜けます」とあいさつした。

 大会の旗振り役となった東京都の小池百合子知事と一緒にセレモニーを見守ったこともあり、メインスタンド周辺には多くのSPが配置されるなどものものしい雰囲気で限界態勢が取られたが、五輪などと同じ国際スポーツイベントして国からも認知される形となった。

 もともとフォーミュラEは市街地レースを中心とするシリーズで、アジアでは中国、マレーシア、香港、サウジアラビア、インドネシア、韓国、インドと7つの国と地域で開催されてきたが、これまで日本は蚊帳の外だった。

 これは公道レースがなかなか認可されなかったためだ。自民党でもモータースポーツ振興議員連盟がつくられ、公道レース法案を出す動きもあったが、各地でナンバープレートのないレーシングカーの公道デモ走行が認められるようになり、2020年9月に島根県江津市でゴーカート競技「A1市街地グランプリ」が実施されて公道を封鎖してのレース開催が実現に至った。

 ただ、フォーミュラEでなければ、東京での公道レース開催は難しかったという。排出ガスが出ないため環境に優しい面があることはもちろんだが、問題はマシンの排気音だ。今回の特設コースの近隣にも総合病院やホテルなどがあり、騒音は一発アウトとなる。

 ところがフォーミュラEのマシンはモーターで駆動するためエンジンの排気音は出ず、モーターの回転音やタイヤのきしむ音がするくらい。表彰式も東京ビッグサイトの屋内施設で行われ、外部に大きな音が響かないような配慮がなされた。

 東京大会の開催契約は今年から3年間といわれている。決勝では日産陣営が終盤に逆転負けを喫したものの、限られたバッテリー量を駆け引きに使って最終周までバトルが繰り広げられた。スポーツイベントの1年目としては成功したといえそうだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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