(30日、第96回選抜高校野球大会準決勝 報徳学園4―2中央学院) 報徳学園(兵庫)の間木(まき)歩は、勝利まであと一人というところで、降板することになった。2番手の今朝丸裕喜をマウンドで笑顔で迎えた。 2点リードの九回2死二、三塁。同点…

 (30日、第96回選抜高校野球大会準決勝 報徳学園4―2中央学院)

 報徳学園(兵庫)の間木(まき)歩は、勝利まであと一人というところで、降板することになった。2番手の今朝丸裕喜をマウンドで笑顔で迎えた。

 2点リードの九回2死二、三塁。同点にされかねない場面を残すのは、エースとしては悔しくて悔しくてたまらなかった。「でも、キャプテンなんで」。悪い雰囲気を残してベンチに帰るわけにはいかなかった。

 1年前の山梨学院との決勝も、この2人のリレーだった。2点リードの五回に集中打を浴びて5点を失い、なお1死二塁のピンチを残して降板。今朝丸も勢いを止められず、決定的な2ランを打たれた。

 頭が真っ白になるような感覚は、心に深く刻まれている。ただ、今はそうならない。「ピンチでは山梨学院戦(の反省)を思い浮かべた。1点ならいいと考えられるのが去年との違い」

 18日の開会式で強くわき上がった感情がある。それを、準決勝前夜のミーティングで仲間に打ち明けた。「開会式で返したのが準優勝旗で、悔しかった」

 もちろん、それはチーム全員に共通する思いだ。「絶対に決勝の舞台に戻る。一つの目標がかなったのはうれしい」と言ったが、表情は緩めない。狙うのは、優勝旗だけだから。(松沢憲司)