(30日、第96回選抜高校野球大会準決勝 健大高崎5―4星稜) 健大高崎(群馬)の強さは、何も強打と機動力ばかりではない。左腕の佐藤龍月(りゅうが)から右腕の石垣元気へつなぐ2年生コンビの継投が相手打線の壁になってきた。 この日はいつもと…

 (30日、第96回選抜高校野球大会準決勝 健大高崎5―4星稜)

 健大高崎(群馬)の強さは、何も強打と機動力ばかりではない。左腕の佐藤龍月(りゅうが)から右腕の石垣元気へつなぐ2年生コンビの継投が相手打線の壁になってきた。

 この日はいつもと順序が逆だった。前の試合で左手中指を痛めた佐藤に代わり、甲子園で初先発の石垣は「やってやるという気持ち。打たせて取ることを心掛け、完投する気持ちでした」とマウンドに臨んだ。

 失点しても最速150キロの速球でギアを上げ、時には抑え気味に制球重視で粘り強く投げた。逆転して迎えた七回も1点差に迫られたが、後続を4球で仕留めた。リードを守って佐藤にバトンを渡した。

 星稜(石川)打線には左打者が7人も並ぶ。佐藤は早打ちで「追いつきたい」と焦る相手心理も逆手に取った。左打者の外角へ曲がる得意のスライダーを軸に攻める。「監督から『いざとなったら投げるかも』と言われていた。準備はしていました」。打者6人で抑える好リリーフを見せた。

 「九回まで行くつもりだったが申し訳なかった。これがエースという投球だった」と石垣が褒めれば、佐藤も「少ない失点でよく抑えてくれた」と、認め合う。

 継投を図っていた青柳博文監督は、佐藤の指を考慮しつつ「リードしなかったら石垣を続投させたが、七回に運良くできた。佐藤はよく投げてくれた」。右腕の粘りを認めて、今大会21イニング無失点となった左腕をたたえた。群馬勢初優勝のかかる決勝も、左右両腕のリレーが勝利の呼び水となるか。(福角元伸)