■智弁和歌山前監督 高嶋仁の目(30日、第96回選抜高校野球大会準決勝) ベスト4が出そろいました。4校とも勢いがあり、複数の投手をそろえている。どのチームにも優勝旗をつかむチャンスはあると見ています。 星稜(石川)は昨秋の明治神宮大会優勝…

■智弁和歌山前監督 高嶋仁の目

(30日、第96回選抜高校野球大会準決勝)

 ベスト4が出そろいました。4校とも勢いがあり、複数の投手をそろえている。どのチームにも優勝旗をつかむチャンスはあると見ています。

 星稜(石川)は昨秋の明治神宮大会優勝校らしく、自信を持って戦っています。派手さはないですが、小技を使って着実に点を取る。

 左腕エースの佐宗翼投手は本調子ではなさそうですが、中学時代に全国優勝するなど経験豊富です。

 健大高崎(群馬)は持ち前の機動力が光ります。盗塁だけではなく、全体的に走塁がうまく、競った試合に強いという印象です。

 左の佐藤龍月(りゅうが)投手から、本格派右腕の石垣元気投手へ、2年生コンビの継投も確立しています。

 中央学院(千葉)は、選手たちが伸び伸びやっているという印象が強いです。このチームも継投ですが、遊撃手から救援でマウンドに上がる颯佐(さっさ)心汰選手が目立っています。2022年夏に全国準優勝した下関国際(山口)で、抑えを務めた仲井慎遊撃手を思い出します。

 報徳学園(兵庫)は、準々決勝で大阪桐蔭との大一番を制しました。昨年の選抜で準優勝だっただけに「もう一つ上」と気合が入っていると思います。

 昨春も経験した間木歩投手、今朝丸裕喜投手の二枚看板が成長しています。走者を出しても、むきにならずに冷静です。打線もしぶとい。

 ここまで28試合で柵越えの本塁打は2本だけ。新基準のバットの影響は大きいですね。大阪桐蔭戦の今朝丸投手のように内角をどんどん攻めることができます。

 大量点が取れないとなれば、勝負を分けるのは守りです。守りでミスが出た方が負け。ヒットエンドランやスクイズなどの機動力も鍵を握るでしょう。

 ここまできたら優勝を意識するなと言っても無理ですが、硬くならないことが大事です。僕だったら「負けても夏がある」ぐらいの気持ちで、チャレンジしていこうと言います。ええ戦いを期待しています。(智弁和歌山・前監督)